北海道寿都町と神恵内村を対象に進められてきた高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定の文献調査報告書案について、鈴木直道知事は15日、「概要調査移行に道が現時点で反対であることが一切書かれていない」と指摘し、地域のさまざまな意見が道外の人に伝わらないことで「この間の(地元の)苦しみが分からない」と原子力発電環境整備機構(NUMO)に注文を付けた。
道内では幌延町で高レベル放射性廃棄物を持ち込まないことを条件に地層処分研究が行われ、最終処分地を受け入れない意思を表明した道核抜き条例もある。鈴木知事はこれまで条例を理由に概要調査移行に反対する考えを繰り返し表明している。報告書案は幌延町の地層処分研究や道条例に触れているが、知事の反対には言及していない。
鈴木知事はさまざまな立場の意見を踏まえた客観的で中立な議論が必要だと主張し、「これは北海道だけの問題ではない。いろんな意見があったことが分からないと、他の地域の人は『北海道でやればいいじゃないか』となってしまう。フェアにやることが大事だ」と述べた。【石川勝義】