ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、ワレリー・ザルジニー軍総司令官を交代させると発表した。後任にはオレクサンドル・シルスキー陸軍司令官を任命した。ザルジニー氏は国民や軍内部からの人気が高いが、ゼレンスキー氏との確執が伝えられていた。
ゼレンスキー氏はこの日のビデオ演説で「今日から新しい指導部がウクライナ軍を率いる」と述べ、軍総司令官の交代を発表した。ザルジニー氏と面会したことも明かし、「私たちは変革を必要とする軍の問題について率直に話し合った」と語った。
ゼレンスキー氏は通信アプリ「テレグラム」にザルジニー氏と笑顔で握手をする写真を投稿した。ザルジニー氏もテレグラムに同じ写真を載せ、「2022年の課題と24年の課題は違う。アプローチと戦略を変更する必要があるとの決定が下された」と述べた。
ザルジニー氏は昨年11月、英誌「エコノミスト」のインタビューで、戦線は手詰まり状態にあると発言。これにゼレンスキー氏が反論し、不協和音が表面化した。
最近の世論調査では回答者の9割がザルジニー氏を信頼し、7割が軍総司令官の交代に反対していた。ロシアによる侵攻開始から2年を迎えるなか、交代が国民の結束や士気に影響を与える恐れもある。【ブリュッセル岩佐淳士】