仏像の顔出し看板を集めた展覧会「ほとけさまつり~ほとけさまになれる至福の12日間~」が岡山県倉敷市で開かれている。来場者が自由に顔出しをして、気軽に「ほとけさま」になりきることができる。【今東理恵】
「対話の機会生まれる作品を」
制作したのは同市出身のアーティスト、ニシユキさん(46)。2013年から仏像の顔出し看板を作り始めた。現在は自作を使ったパフォーマンスやインスタレーションを中心に活動している。
これまでに約70点を制作。倉敷市西岡の行願(ぎょうがん)院や岡山市東区の西大寺観音院のほか、全国の寺院からも顔出し看板の注文がきているという。
ニシユキさんは学生時代から油絵を続けていたが、創作がつらくなった時期があった。それでも表現したいという思いは変わらず、「自分が楽しいと思える方法で表現したい」と03年以降、現在の創作スタイルになったという。
その後、「もっとお客さんと対話が生まれる作品を作りたい」と考えるように。京都・東寺の講堂で21体の立体曼荼羅(まんだら)の色気と躍動感に圧倒されたことを思い出し、客が参加して作品が完成する「仏像顔出し看板」が誕生した。東寺では立体曼荼羅のほか、金堂の薬師三尊像と十二神将、奈良・東大寺南大門の「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」の金剛力士像など特徴ある作品を生み出してきた。
今回は、金剛業菩薩(ぼさつ)や大日如来など41点の顔出し看板と、ゾウやハスの花などの看板も展示。来場者は自由にお気に入りの看板から顔を出し、会場内にある大きな姿見で鑑賞したり、写真撮影をしたりして楽しめる。ニシユキさんは「地元開催がうれしい。ほとけさまになりきって、好きなポーズで存分に記念撮影を楽しんでほしい」と話している。
天満屋倉敷店(倉敷市阿知1)4階の倉敷フューチャーラボセンターで4日まで。3、4日はニシユキさんが在廊する。入場無料。ニシユキさんは3月31日、行願院でイベントを予定している。