もう住みたくない――。清流に恵まれた山あいの街で、水道料金が急騰している。来夏には下流自治体の最大約2・5倍に跳ね上がるという。「水源地なのになぜ?」。住民から悲鳴が上がっている。
水道料金の上昇が止まらないのは愛知県新城市。静岡県との境に位置し、約4万4000人が暮らす。1級河川「豊川」が流れ、山間部は流域自治体にとって重要な水源の役割を果たしている。
水道メーターの口径によって料金は異なるが、一般的な口径13ミリの場合、今年7月までは1カ月814円(税込み)だったのが、現在は1144円、来年8月には1474円に引き上げられる予定だ。わずか1年で約1・8倍になる。
さらに下流域の自治体と比べると、豊川市が660円、豊橋市が583円。新城市は水源地にもかかわらず、8月以降は両市の最大約2・5倍にもなる。
住民からは「お風呂に毎日入るのをやめて2日に1回にしようか」などと悲痛な声が上がる。「ママ友同士、『家を建てていなければ引っ越している』『子どもには住ませたくない』と愚痴を言い合っている」と嘆く女性もいる。
こうした水道料金の高騰は他の地域でも決して人ごとではないという。水道事業に詳しい浦上拓也・近畿大教授は「人口減少が進む中、どこでも起こりうる」と指摘し、「市町村による経営はもはや限界だ」と警鐘を鳴らす。果たして解決策はあるのだろうか。【町田結子】