伊藤忠商事が、自動車保険の保険金不正請求問題を起こした中古車販売大手ビッグモーターの買収を検討していることが17日、明らかになった。ビッグモーターの創業家が経営に関与しないことが条件。17日夕方に正式表明する。
伊藤忠は、国内投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ（JWP）、子会社で燃料事業などを手がける伊藤忠エネクスと組んで、ビッグモーターの資産査定の独占契約を結ぶ。最終的に買収するかは、2024年春までに決める方針。
伊藤忠は輸入車販売のヤナセや、リース大手の東京センチュリーに出資するなど自動車事業にも注力しており、相乗効果が見込めると判断した。ただ、ビッグモーターのブランドイメージが損なわれていることもあり、慎重に検討する。
ビッグモーターは、保険金の不正請求の発覚後、中核事業である中古車の販売や買い取り件数が大幅に減少。経営が悪化し、支援先企業を探していた。関係者によると、今年6月時点で300億円以上の現預金があったが、売り上げ急減で資金繰りが悪化しているという。
10月24日には、国土交通省の各地方運輸局が、不正な自動車整備や車検が確認されたとして全国34工場に対し自動車整備の事業停止90～10日などとする行政処分を発表。金融庁も、今月30日付で同社の保険代理店登録を取り消す見通しだ。【松山文音、加藤結花】
