自民党衆院議員の神田憲次副財務相(愛知5区)は13日、度重なる税金滞納と資産差し押さえの問題を受けて辞任した。国民に納税を求める立場の国会議員による不祥事に、東京・神田のオフィス街では憤りの声が上がった。
「今月は個人事業税の納期です」。千代田都税事務所が入る庁舎には、そんな懸垂幕が掲げられていた。近くを歩いていた会社員の男性(43)は「辞めて当然だ」と言い切った。サラリーマンにとっては、時に複雑な計算が必要になる年末調整の時期。「滞納を繰り返すような人物を副大臣にするのは、政府が『税金をきちんと納めなくてもよい』というメッセージを送っているようなものだ」と話す。
9月に発足した第2次岸田再改造内閣では、神田氏も含めて副大臣・政務官計3人の不祥事や疑惑が相次いで発覚し、いずれも辞任した。この男性は「政府や与党のモラルが崩壊しているのではないか」と疑問を呈した。
東京都中央区の70代女性は、神田氏が4回にわたり土地や建物を差し押さえられたことについて「一度だけなら『忘れていました』で済むかもしれないが、4回も重なったのでは許せる問題ではなくなる」と指摘。「副大臣だけではなく、国会議員も辞めるべきだ」と話す。近くに職場がある公務員の男性(60)も「一人の社会人としてあり得ない。議員も辞めて、一から出直したほうがいい」と憤った。【李英浩】