総合スーパー「イトーヨーカ堂」の福島店(福島市太田町)と郡山店(福島県郡山市西ノ内)が2024年5月ごろに閉店することが17日、複数の関係者への取材で分かった。県内では21年2月に平店(いわき市)が閉店し、現在営業を続けているのはこの2店舗だけで、イトーヨーカ堂は県内から完全撤退する見通しとなった。
関係者によると、親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)の担当者が16日に両店を訪れ、閉店の時期を通告したという。正式な閉店時期は今後決まる見通しで、後継店などについては調整中だという。
セブン&アイHDは今年3月、赤字が続くイトーヨーカ堂の運営合理化策として、126店(同2月時点)ある国内店舗を地方の不採算店を中心に約2割削減し、26年2月末に93店にすると発表していた。
福島店は1985年に開業。JR福島駅西口の正面に位置し、1~3階に生鮮食品や紳士服の売り場のほか、旅行代理店や飲食店など約10店のテナントが入っている。郡山店は89年に開業し、4階建ての建物に美容院や生花店など約20店のテナントが営業している。
両店は長年、市民の暮らしを支えてきただけに、閉店の見通しになったことに戸惑う買い物客が目立った。
福島市八島田の会社員、加藤毅さん(59)は17日午前、サッカーを始めたばかりの小学2年の孫の練習着を探しに福島店を訪れた。開業後からずっと紳士服などを購入しているといい、「閉店したらどこに買いに行けばいいのか」と困惑した。
同市野田町の中村洋子さん(85)は、同居する長女と1日おきに来店し、食料品などを買い求める。閉店の知らせを聞き、「洋服も買えて便利だったから困るね。(後継店には)衣料品も取り扱ってほしい」と話した。
高校の同級生と待ち合わせをしていた同市笹木野の60代女性は、駅に来ると必ず寄っているという。「30年以上通っている。東口にあった(デパートの)中合もなくなり、街並みが変わってしまって寂しくなる」と嘆いた。【肥沼直寛】