熊本県が新型コロナ禍の経済対策で実施した旅行支援事業を巡り、業者への助成金が不適切だった可能性があるにもかかわらず、県幹部が担当課に見逃すよう指示していた疑いがあるとして、蒲島郁夫知事は13日、第三者による調査を実施する方針を示した。
この問題を巡っては、関係者が7日、代理人弁護士を通じて公益通報者保護法に基づく外部通報を報道機関に寄せた。関係者によると、疑惑があるのはテレビ熊本(TKU)の子会社「TKUヒューマン」(熊本市)が販売した旅行商品。不適切な受給額は県が3月末に公表した約2500万円とは別に、約2000万円に上るという。
問題となっているのは、同社が2021年10月~22年5月に販売したタクシー券付きの日帰り旅行商品。タクシーの発着地が同一地点か確認しなかったり、利用区間外の人にも販売して「利用しなくてもよい」と伝えたりし、助成要件を満たさないにもかかわらず、「幹部が担当課長に見逃すよう指示した」と指摘している。
県が実施した旅行支援事業「くまもと再発見の旅」について、県は3月末、利用した県内の旅行事業者101社のうち助成対象外となった商品が計14社で約4500万円に上ったと公表していた。蒲島知事は「第三者委の調査と合わせて、庁内でもしっかり調査していく」と強調し、自身の関与は否定している。【山口桂子】