徳島県の後藤田正純知事は18日の定例記者会見で、台風7号の接近中に開催された徳島市の阿波踊りについて「何かあった時に誰が責任を取るのか、責任を取れる体制なのか。苦渋の選択だったと思うが、県民や県外の方に納得と共感が得られたかどうか検証する必要がある」と述べた。
阿波踊りは12日に開幕。14日は市が市内全域に「高齢者等避難(警報レベル3)」を発令、市内28カ所に避難所を開設して避難を呼び掛ける中で実施された。最終日の15日は中止となった。後藤田知事は「全国的に発信力のあるコンテンツ。県にも何かしら相談を頂きたかった」と話した。
主催する「阿波おどり未来へつなぐ実行委員会」事務局によると、14日午後1時に実行委の会合が開かれ、内藤佐和子市長から開催中止の要請があったことなどが報告された。会合には委員28人のうち17人が出席。委員長代行を除いた16人中9人の賛成多数で開催を決めた。事務局は毎日新聞の取材に対し、「不測の事態にも対応できるよう風で飛ばされそうな物を撤去するなど準備はできている」などと説明した。
参加者「実行委に従うしか」
同日午後6時に屋外の有料演舞場などで始まり、同7時前から雨が激しくなった。「連」と呼ばれる踊りグループは、ずぶぬれになりながら笑顔で踊りを披露。三味線はぬれると傷むため使用せず、太鼓や提灯(ちょうちん)はビニールカバーをかぶせていた。ある連員は「実行委がやると言えば従うしかない」と話した。一方、踊りを自粛した連もあった。レインコートや傘をさした観客もびしょぬれだった。
同9時13分には徳島地方気象台が暴風警報を発令したが、一度の中断もなく予定通り同10時まで行われた。市長が中止を要請したにもかかわらず強行開催した実行委の対応について、ネット上では批判の声が上がっている。【山本芳博、植松晃一】