大雨による大規模な土砂災害で登山道が崩落した伊吹山(1377メートル)を復興するために滋賀県米原市はふるさと納税で支援金を募っている。登山道復旧や防災・治山対策などに充てる。平尾道雄市長は地球温暖化や鹿の食害などにも触れ「異常気象の中で、伊吹山は惨たんたる状況になっている。できるだけ早く回復させたい」と話した。
伊吹山は県内最高峰で、日本百名山に指定されている。希少な高山植物が咲くことでも知られている。7月12日午後2時半ごろからの激しい雷雨で6合目付近で土砂の流出が見られた。市などが確認したところ、7合目から4合目にかけて複数箇所で登山道が崩落。一部で途切れている場所もある。同13日以降、上野登山口ルートは通行止めになっており、復旧のめどは立っていない。自動車専用道の伊吹山ドライブウェイは通行可能で、9合目の駐車場から山頂への登山はできる。
市によると、被害額や復旧にかかる費用については調査中だ。平尾市長は「私見だが、安全度を高めて復旧する必要があり、1億円を超える予算が必要になりそうだ」と言う。
寄付はふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」にアクセスし、同市が立ち上げた災害支援プロジェクト「令和5年7月豪雨による伊吹山登山道崩落」から申し込む。募集期間は2024年3月31日まで。2000円以上から受け付け、返礼品はない。
また、市は8月4日に登山道を管理する県に緊急要望書を提出する。防災・治山対策による斜面崩壊の防止▽観光面での安全な登山道の復旧▽貴重な植物を保護する獣害対策・植生回復――の3項目を盛り込む予定だ。【長谷川隆広】