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ドローン配送「当面見送り」 市の4000万円新事業に疑問の声


 千葉県勝浦市が年間4000万円余を投じる新たな商品配送サービス事業に市民から疑問の声が上がっている。今年1月にスタートしたものの、目玉のドローンによる配送が1度も行われないまま当面見送りとなり、市は事業費の内訳をもう一つの配送方法である陸送に多く配分。ドローン関連費を半分以下にした。市は「陸送事業などに重点を移すため」としているが、先行きは不透明だ。

 事業は、市商工会関係者らで組織する市商店街活性化推進協議会による「商店街等にぎわい創出事業」で、市内商店街の活性化と買い物弱者支援などを目的に今年1月に始まった。JR上総興津駅前に開設したデポ(物流拠点)で客の注文を取りまとめ、スタッフが地元の商店を回って注文品をピックアップ。ドローンに載せ替え、客が指定する着陸ポイントまで商品を運ぶ。並行してバンタイプの電気自動車(EV)での陸送も導入した。配送料は商品代金の10%プラス300円。

 ドローン配送の場合、客が最寄りの着陸ポイントまで受け取りに行かなくてはならないが、陸送だと注文客の自宅まで届けられるメリットがある。

 配送を担うのは、産業用ドローンの研究開発などを行っている「エアロネクスト」(東京都渋谷区)の子会社「NEXT DELIVERY」(山梨県小菅村)。1月18日には関係者を集めてドローンによる試験配送を実施。市上空を約3・5キロ飛び、西端部の大沢地区まで日本酒とすしのセットを届けた。地元の商店が扱う食品や日用品など配送対象商品をまとめたカタログも作成されたが、5カ月近くたった今も、ドローンによる商品配送は行われていない。陸送は市によると1~3月に145件の利用があった。エ社は取材に「車で商品を届けるサービスからスタートした」と説明。ドローン配送については、ニーズ調査や配送方針の検討段階とし「秋には(本格的に)スタートができる方向」としている。

 市は同協議会への補助金として2022年度予算に約3096万円を盛り込み、ドローン関連費はうち約1900万円と半分以上を占めた。23年度予算では4120万円とし、当初、うち約86%にあたる3560万円をドローン関連費に充てた。ところが、同協議会が3月の会合で陸送をメインとする方針に転換。市は、予算額を変えないまま、ドローン関連費を1650万円に縮小。減額分は陸送関連などに回すことにした。

 この変更について、7日の市議会で「事業内容の軌道修正ではないか」との指摘があり、今後の運営を不安視する意見も出た。

 市民の間からは事業に対して懐疑的な声が上がっている。1月18日のデモ配送に立ち会った大沢地区の鈴木恒夫区長(79)は「先進的なよいシステムだが(導入は)10年早いのではないか。うちの集落ではまだ全然需要がない」と話している。【岩崎信道】

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