starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「鬼滅」で海外の客多く 日本刀作り、1000年以上続く職人技


 長く武器として使われてきた日本刀。現代では主に美術品として作られているが、美しい反りや刃文のある姿形は1000年以上変わっていない。伝統を受け継ぐ職人の技を間近で見られると聞き、日本刀作りの現場を訪ねた。【川地隆史】

 バス停「瓜生東」で降り、麦畑や田んぼ、民家が点在する風景を通り抜けると、キャンプや宿泊などができる兵庫県相生市の交流施設「羅漢の里」に着く。その一角にあり、鍛冶屋川沿いに歩くと工房「桔梗隼光(ききょうはやみつ)鍛刀場」が見えてくる。刀匠の桔梗隼光さん(50)が出迎えてくれた。

 この日は鋼から不純物を取り除く「折り返し鍛錬」の様子を見せてもらった。

 まずは、鋼を約1300度まで熱する「沸かし」から。火床(ほど)に松炭を入れ、火をおこす。火に風を送る、大正時代に作られたという鞴(ふいご)を一定のリズムで動かし、温度を高めていく。

 鋼が1300度に達したかどうかは、火の色や音で判断する。「青い火だとまだまだ。黄色になるまで沸かし、『シュー』という音が聞こえたらそろそろ」。1時間ほどかけてしっかりと熱することで、傷のないきれいな鋼になるという。

 熱した鋼を火床から取り出すと、すぐにハンマーでたたく。「ドンドン、カンカン」。たたく度に火花が飛び散る。数回たたくと今度は真ん中に切れ目を入れて、折り返す。折り返し鍛錬で鋼の炭素量を均一にし、層にすることで折れにくい刀になるという。1振り作るのに50~60回ほど繰り返すとのことだ。

 相生市で生まれ育った桔梗さんは大学卒業後、テレビ番組を見て日本刀作りに興味を持った。岡山市の刀匠、故横井崇光氏の門戸をたたき、弟子入り。5年の修業を経て2005年に独立した。10年に羅漢の里で工房を開き、以降日本刀作りの見学や体験客を受け入れている。

 作刀に集中するため見学を受け付けていない工房が多い中で、沸かしの際に「火の色が変わってきたでしょう」などと逐一説明している。人気アニメ「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」の影響もあり、若い女性や海外からの客も多い。「AI(人工知能)など技術が発達した現代でも、昔の方法で作っていることを知ってもらいたい」と話す。

 桔梗さんいわく、日本刀作りの魅力は「100%満足できるものができないこと。だからやりがいがある」。独立してから1年間ほどは、松炭の大きさや鍛錬のやり方などをオリジナルの方法で試したが、納得のいく作品ができなかった。失敗作を小刀に作り直し、刃文をつける「焼き入れ」を重ねた。「あの時期は無駄ではなかった」と胸を張る。

 何が日本刀の作風を決めるのか。桔梗さんは「最終的には作り手の人柄」と語る。実際に作刀の風景を見て、刀鍛冶の思いに触れると、日本刀がより魅力的に見えるだろう。

桔梗隼光鍛刀場

 兵庫県相生市矢野町瓜生羅漢口28。営業日や営業時間は決めていない。小刀作り(1人4万円または8000円)、鍛錬の見学(同1万円)ができる。どちらも水、木、金、土曜の開催で、1週間前までに予約が必要。問い合わせや予約は電話(090・8358・4748)かホームページで。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.