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図書館の非正規職員7割に 「待遇改善を」協会が知事らに要望


 公益社団法人「日本図書館協会」は6日、東京都内で記者会見を開き、全国の図書館に勤める非正規職員の処遇改善を求める要望書を都道府県知事らに送ったと明らかにした。協会によると、全国の公立図書館で働く職員の約7割は雇用期間などが限られた非正規職員となっている。利用者に対する選書や資料調査の支援には「十分な経験や資料に対する知識の積み重ねが大切で、長く働ける職員が必要だ」としている。

 要望書は5月31日、全国の都道府県知事や市長らに送付。図書館の発展には職員の安定した雇用が必要で「知識と経験を蓄積し、地域固有の課題と利用者の要望の理解に基づいた図書館サービスを提供することで、信頼される存在であることが基礎だ」と指摘した。

 具体的には、非常勤・臨時職員の賃金と労働条件の改善、2020年に始まった会計年度任用職員制度の趣旨に沿った適切な運用などを求めている。協会によると、全国の公立図書館に勤める職員は約4万2000人(22年4月1日現在、兼任を除く)。過去15年間で正規職員の割合は4割から2割に下がり、非正規職員の割合が増えたという。

 国は20年4月、自治体で働く非正規職員の待遇改善を目的に会計年度任用職員制度をスタートさせた。原則1年の会計年度ごとの任用となるが、ボーナスの支給があり、フルタイムの場合は退職金の支給対象だ。

 一方、総務省のこれまでの調査では、ボーナス支給のために月額給与を引き下げたり、勤務時間をフルタイムより短くしたりするケースもあり、同省は適正な運用を求めている。

 会見では、会計年度任用職員として、学校で司書をしている利光朝子さん(63)が「『毎年、来年はどうなるんだろう』という心理的負担はかなりのものがある」と話した。1年ごとに履歴書を出して採用面接を受ける。週4回1日7時間働いて時給は1250円で、昨年の年収はボーナスを含め約168万円だった。

 かつて公共図書館に勤めていた時は「本を選ぶ、買う、レファレンス(資料調査などの支援)業務など専門的な知識が必要な業務は非正規雇用の職員が担っている実態があった」と指摘。「図書館の業務は経験の積み重ねが必要。安心して生活でき、能力を上げて、いい仕事をすることが市民のためになる」と訴えた。

 協会の「非正規雇用職員に関する委員会」の小形亮委員長は「(会計年度任用職員制度は)格差是正というより、格差の固定化につながるものになっている」と指摘。「地域をよく知り、地域の人々と親しむ中で図書館活動を行う必要がある。頻繁に人が変わるということでは十分なサービスはできない」と話した。【井川加菜美】

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