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「おかしいと思ったが」 “最高齢”84歳の受け子に実刑判決


 「アルバイトと言われていた。おかしいと思ったが……」。高齢者から現金をだまし取ったとして詐欺罪に問われた宇都宮市の無職、田中正治被告(84)に対し、前橋地裁高崎支部(地引広裁判官)は5日、懲役3年6月(求刑・懲役5年)を言い渡した。田中被告は特殊詐欺で被害者から現金を回収するいわゆる「受け子」。群馬県警によると、2012年以降に逮捕した受け子で最高齢という。

 判決によると、田中被告は22年3月18日、息子を装った電話を受けた東京都青梅市の被害者(当時83歳)方に出向いて、息子の上司の弟になりすまし現金60万円をだまし取るなど、群馬県内や大阪、千葉、茨城などで「受け子」として計11件総額1632万円を受け取った。

 地引裁判官は量刑理由について「被害額1600万円を超え、同種行為を繰り返しており規範意識が欠けていた」とした上で、「競馬などのギャンブルはせず、年金で堅実に生きていかなければならないと思っている。心底から申し訳なく思っているなどと述べていることなどを考慮した」と述べた。

判決言い渡し「聞き取れなかったので…」

 田中被告は、グレーのジャケットに黒いスラックス姿で法廷に臨んだ。判決言い渡しの前に補聴器を手渡され、左耳に装着したものの「すみません、聞き取れなかったので、もう一度お願いします」と言った。言い渡しが終わった後、地引裁判官に「分かりましたか」と問われると「後で弁護士の先生に聞きます」と答えた。

 公判ではギャンブルで作った借金返済のため、同世代の高齢者をだます「闇バイト」に手を染めた経緯が語られた。

 競馬で多額の借金を抱え、SNS(ネット交流サービス)で「闇バイト」を知り、「借金の返済になれば」と加わったという。5月8日に同支部での被告人質問で、田中被告はこう証言した。

 「集金をしてくれればいいと言われ、それならばやってみようと思った。最初に被害者から60万円ものお金を受け取り、詐欺ではないかと思った。だが、『お客さんが納得してくれている』などと説明された」

 その後もずるずると特殊詐欺事件に関わり、被害者の親族の関係者を名乗って現金を受け取っていたという。検察側は50万円余りが、氏名不詳の人物から田中被告の口座に振り込まれていたことを明らかにした。田中被告は「報酬として受け取ったのは35万円。そのほかは交通費だった」と供述した。

 「受け子」になった結果、宇都宮市内の自宅を手放すことになった。妻は認知症を発症したという。公判で田中被告は「被害者や迷惑をかけた家族に本当に申し訳ない」と謝罪の言葉を口にしていた。閉廷後、弁護士は田中被告の背中をポンポンとたたきながら言った。「寛大な判決だよ」。【庄司哲也、日向梓】

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