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最盛期じゃないのに 台風、なぜ5月に強く? 23年はより警戒を


 大型で強い台風2号が沖縄に接近している。気象庁によると、最大風速は60メートル(26日)と、一時は「猛烈な」勢力となった。まだ最盛期とは言えない5月に発生した台風としては、1951年の観測開始以降3番目の強さだ。なぜこの時期にこれほど強くなったのか。今年の台風にはどんな傾向があるのだろうか。

 台風2号は、20日に西太平洋・カロリン諸島付近の海上で発生。急速に発達しながら北西に進み、米グアム島に接近して大きな被害を出した。一時は米基準でも最大級の「スーパー台風」に発達。次第に勢力を弱めながらも「大型で強い」状態を保っている。

 台風の発生・発達には、海面水温が大きく影響する。気象庁によると、現在のグアム島周辺の海面水温は平年より1度ほど高い。さらに台風2号は、大きな島に上陸して勢力を失うことがないまま海上を西に進むなど、発達しやすい状況がそろっていたという。

 海洋研究開発機構環境変動予測研究センターの那須野智江主任研究員は、熱帯域で発生した巨大な雲群がインド洋から太平洋へゆっくり東に進む「マッデン・ジュリアン振動」(MJO)という現象が関係していた可能性を指摘する。

 MJOは70年代に発見された大気現象で、台風やモンスーンの活動に大きな影響を及ぼすとされる。

 夏の西太平洋では、ユーラシア大陸の南側から南シナ海に向かう熱帯域の西風と、太平洋高気圧の縁を回る亜熱帯の東風が低気圧性の渦を形成する。これは「モンスーントラフ」と呼ばれ、台風の温床となる。5月はまだ西風が弱い季節だが、今年は20~25日ごろにMJOが西太平洋で活発化した。MJOによる西風の強化でモンスーントラフが発達し、台風が発生・発達しやすい条件が整った可能性があると、那須野さんは推測している。

 今年は、太平洋赤道域から南米沖までの海面水温が下がる「ラニーニャ現象」が終息し、逆にこの海域の海面水温が上昇する「エルニーニョ現象」が夏までに8割の確率で始まると予測されている。熱帯西太平洋では、エルニーニョ現象の発達する年には、平年より南東側で台風の発生が増える傾向があり、台風が暖かい海の上を進む時間が長くなることから、強い台風が増えることが知られている。

 那須野さんは「現時点では、ラニーニャ現象の名残で西太平洋の海水温が下がりきっていない。このことも台風2号の勢力が維持されやすい要因となった可能性があり、今年は平年以上に強い台風への警戒が必要だろう」と話す。【三股智子】

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