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「つながらない」が代名詞 広島いのちの電話、相談員の応募低迷


 24時間、年中無休でさまざまな悩み相談を電話で受け付ける「広島いのちの電話」(082・221・4343、広島市中区)で、ボランティア相談員の応募が低迷している。2023年度は9人、22年度は4人で1988年4月の開設以来、最少だった。長引く不況の影響で企業や個人からの寄付も落ち込んでおり、関係者は「なんとか24時間体制を維持したいが非常に厳しい」と頭を抱えている。

 5月10日、広島いのちの電話の新たな相談員の研修が中区で始まった。「自殺したいと訴える相談者の7、8割は孤独。誰かとつながりたいという思いがあります」。永川邦久理事の言葉に、広島県内から公募で集まった9人は熱心に耳を傾けていた。

 広島いのちの電話は無償のボランティアが相談員を務め、人々の孤独や不安に寄り添ってきた。だが2000年代以降、「いのちの電話」は全国各地で相談員の減少に歯止めがかからない状況という。永川理事は「電話がつながる確率は6%程度。『つながらない』が代名詞になってしまっている」と苦悩を見せる。

 相談員になるには広島市内で月2回の研修を1年間、受講する必要がある。研修プログラムは講義と電話実習、面談指導など。年代別の幅広い悩みや、DV(ドメスティックバイオレンス)、発達障害、精神疾患などについても学ぶ。年間3万円の研修費と交通費は自己負担で、相談員になっても交通費負担のほか、相談を聞くことによる精神的ストレスも大きい。

 それでも「誰かの役に立ちたい」と、相談員の応募は福山市など県内各地からある。1990年代には200人を超える相談員が年間2万件以上の相談を受けた時期もあった。だが2022年度以降、応募は10人に満たず、相談員の総数も100人を割り込んだ。

 一方、21年の県内の自殺者は480人で20年の401人から約2割増加した。人口10万人当たりの自殺者の割合も、21年は17・6で全国(16・5)を上回り、厳しい状況に陥っている。

 永川さんは「一番多い相談は、家族や男女関係を含めた人間関係で、この傾向は何十年も変わらない。どんな悩みでも周囲に相談する相手がいない孤独や居場所のなさが、大きな問題になっている」と考える。

 相談電話の混み具合は時間帯によって差があり、深夜は昼間の3倍かかってくるという。またつながりにくい場合、毎月20日(午前8時~午後3時)にフリーダイヤル(0120・375・568)の利用を呼びかけている。通常は全国からつながる設定だが、毎月20日は県が県内の回線に限定している。ほかにも県は、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を利用した「こころのライン相談」も開設している。【山本尚美】

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