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長野立てこもり「トラブル聞いたことがない」 住民絶句、眠れぬ夜


 のどかな農村地帯で迷彩服姿の男が銃などを持って民家に立てこもり、4人が亡くなる凄惨(せいさん)な事件に、地元の人たちは眠れぬ夜を過ごした。発生から約12時間後の26日早朝、長野県中野市江部の青木政憲容疑者(31)は屋外に出てきたところを捜査員に取り押さえられ、殺人容疑で逮捕された。

 事件現場近くに住むパートの男性(60)が異変に気がついたのは25日夕方だった。サイレンを鳴らしたパトカーと救急車が相次いで自宅近くに止まり、私服の警察官2人が数十メートル先に住む青木正道・中野市議会議長(57)の自宅に入って行くのが見えたという。

 「農作業中に事故でもあったのかな」。心配になり、家の前に出ると、警察官が後ずさりしながら、議長宅から出てきた。その直後、青木議長の長男である政憲容疑者が飼い犬の紀州犬を連れて姿を現した。迷彩柄の服と帽子、赤いベストにサングラス姿で、猟銃を構えていた。

 「銃を下ろしてください」。警察官が呼びかけたが、応じず、沈黙したまま向き合った。数十秒後、政憲容疑者は銃を下ろし、男性に一瞬目を向けた後、無言で自宅の中に戻っていった。

 現場周辺は25日夜から広範囲に規制され、警察官らが住民に避難や自宅の外に出ないよう呼びかけた。あちこちで警察車両が警戒にあたり、26日未明にはヘルメットをかぶり、盾を持った捜査員らが現場周辺を行き来し、県警のヘリコプターが上空で旋回を続けるなど重苦しい一夜となった。

 政憲容疑者が確保されて朝を迎えると、避難していたとみられる住民らが、疲れた表情で次々と帰宅していた。市は事件を受けて25日夜、近隣の市立中学校を避難所とし、約90人が身を寄せた。高齢の母親と避難した公務員の丸山勝美さん(54)は「警察官が撃たれたと聞き、母親がいた自宅に犯人がいるのではないかと思って怖かった。避難所では一睡もできなかった」と疲れた様子で話した。会社員の男性(63)は妻と父親の3人で避難。議長の一家と交流があったといい「家族関係は良いと思っていた。息子が立てこもっていたと聞いてびっくりした」と話していた。

 事件に巻き込まれたとみられ、死亡が確認された村上幸枝さん(66)の知人男性(63)によると、村上さんはホームセンターで働いていたといい「活発な人だった」と話す。議長とも知り合いで「(政憲容疑者について)困っているとか、トラブルがあるとか、聞いたことがない。近所の人たちの間でこんなことが起きるなんて」と困惑していた。

容疑者、ジェラート販売に従事か

 政憲容疑者は、父親の青木議長が経営する会社で果樹農園やジェラート販売などの事業に携わっていたとみられる。近隣住民らによると、青木議長の会社は農薬販売や果樹生産から事業を拡大し、2019年に同県軽井沢町でジェラートの販売店を始めた。その後、中野市内にも2号店を開き、政憲容疑者や母親が働いていたという。ジェラートは同市の「ふるさと納税」返礼品にも採用されたことがある。

 ある女性市議は「(政憲容疑者が)両親と一緒に住んでいたと聞いた。4人も亡くなってしまい言葉にならない」と絶句。男性市議は「先日も議員仲間で会ったが、議長に変わった様子はなかった。トラブルを抱えているとも聞いたことがない」と語った。【菅健吾、日向梓、井上知大、堀智行、小林遥、宮崎隆、春増翔太】

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