ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏から所属タレントらが性被害を受けていた疑惑については、1999年10月からの「週刊文春」による報道で知られるようになった。
週刊文春は14週連続で記事を出し続けた。喜多川氏と事務所側は名誉を傷つけられたとして、発行元の文芸春秋に1億700万円の賠償と謝罪広告を求めて提訴した。1審では文春側が敗訴したが、2003年7月の2審の東京高裁判決は「少年たちの証言は具体的で詳細なのに、事務所側は具体的に反論していない」として「セクハラに関する記事の重要部分は真実」と認定。文春側が実質的に勝訴した。
ジャニーズ側は上告したが、最高裁は04年2月に上告を棄却し、東京高裁判決が確定した。
ジャニー喜多川氏は19年7月に死去。後任社長には、めいで副社長だった藤島ジュリー景子氏が就任した。
喜多川氏の性加害疑惑が大きな関心を呼んだきっかけは、英国のBBCが23年3月に配信したドキュメンタリー動画だ。「J―POPの捕食者 秘められたスキャンダル」と題し、被害に遭ったという男性や、週刊文春の記者の証言を紹介しながら疑惑を報じた。
4月12日には、ジャニーズJr.として活動していたカウアン・オカモトさんが東京都内の日本外国特派員協会で記者会見し、喜多川氏からの性被害を訴えた。
ジャニーズ事務所は「経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス順守の徹底」「ガバナンス体制の強化」を進めるとのコメントを出した。しかし、喜多川氏による性加害疑惑については説明しなかった。
こうした中、ジャニーズ事務所所属タレントのファンらによる有志の団体「PENLIGHT(ペンライト) ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」が4月19日、被害者への謝罪などを求めるオンライン署名活動を開始した。5月11日、東京都内で記者会見し、1万6125筆分の署名を事務所に郵送したことを明らかにした。【デジタル報道グループ】