大阪府知事選で落選した法学者の谷口真由美氏(48)と、大阪市長選で敗れた元市議の北野妙子氏(63)は9日夜、大阪市内のホテルに姿を見せた。谷口氏は「結果は受け止める。IR(カジノを含む統合型リゾート)は争点化しきれなかった」と述べ、北野氏は「(維新が)民意を得たというのは独裁だ。少数意見を取り入れた市政運営をお願いしたい」と語った。
2人を擁立したのは、維新に対抗する政治団体「アップデートおおさか」。経済人や弁護士、学者らが呼び掛け人となる団体で、幅広く支援を受けられる「市民派」の擁立を目指した。だが著名人らに出馬を断られ、たどり着いたのが谷口氏と北野氏だった。
このため出馬表明は知事選告示の1カ月半前と出遅れた。政策を固めるために市民との意見交換を重視し、初めての街頭演説も投票日の約1カ月前とスピード感に欠けた。IRには反対の立場を訴え、情報開示や住民投票の実施を掲げたが、IR反対候補は他にもいて差別化できなかった。
2人は政党の公認や推薦を受けなかったものの、自民党や立憲民主党が自主支援した。ただし、谷口氏が自民の憲法改正草案を過去に著書で批判したことなどから自民内でも支援に反発する動きがあり、一枚岩になれなかった。
北野氏は「大阪都構想」の2度目の住民投票(2020年)で自民市議団幹事長として反対運動の先頭に立った。リベラル層からも評価する声があったが、都構想が争点にならなかったこともあり、及ばなかった。【石川将来】