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特殊詐欺被害が少ない町、なぜ? 土地柄に加え、署員の秘策も


 神奈川県内で特殊詐欺被害が多発する中、葉山署管内は2020年以降、特殊詐欺認知件数が年間2件以下で推移している。葉山町は元々、鉄道が通らず犯人の逃走手段が限られて標的になりにくい土地柄。これに加え、署がコンビニエンスストアなどで販売される電子マネーカードに注意喚起のシールを貼るなど、小さな町ならではのきめ細かな対策を徹底して実施していることが功を奏している。

 葉山署によると、18年の特殊詐欺認知件数は7件だった。19年5件、20年2件と減り、21年はゼロを達成した。22年は再び2件が発生し、今年2月には約1年ぶりに高齢者が約100万円の特殊詐欺被害に遭ったが、件数自体は低く推移している。

 2月27日の昼下がり。町西部の海沿いにあるコンビニを訪問した署員に、記者が同行した。陳列されているプリペイド式の電子マネーカード1枚ずつに、署の電話番号と共に「高額の電子マネーの購入は詐欺の可能性があります」と印刷されたシールを貼り、店員に注意喚起のチラシを渡した。電子マネーカードは、記された情報からオンラインショッピングなどの支払いに充てることができ、その情報をだまし取られるケースがある。

 シール貼りは署員のアイデアから生まれ、昨年10月から店側に協力してもらい、署員がシールが貼ってあるかを毎日チェックするほど力を入れる。会計時に店員が読み取る電子マネーカードのバーコードに重ねて貼るのがポイントだといい「店員、購入者双方に二重で注意喚起することができる。毎日繰り返しお願いすることで防犯に対して高い意識を維持したい」と署員は強調する。

 こうした巡回は、署員が交代で行い、金融機関、ATM(現金自動受払機)、コンビニ、ドラッグストアなどで毎日欠かさず実施している。

 この対策以外にも、署は金融機関で高額の支払いがあった場合の通報の目安を「100万円以上」に設定。町内にある銀行、JA、郵便局の金融機関と協定を結び、通報を受けると署員が急行する。確認が取れるまで多少時間がかかるため、利用者からは不満の声が上がることもある。しかし、昨年3月には、息子をかたった電話を受けた80代女性が、郵便局で300万円を引き出そうとするのを止め、被害を未然に防いだ。

 同署は「金融機関やコンビニ以外にも、お願いするのはゴミ収集車、路線バス、ドラッグストア、新聞販売店などさまざま。署員からアイデアを出してもらってできることは何でもやり、効果があれば継続する。徹底して実施することが署風として定着している」と話している。【橋本利昭】

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