台湾中央通信は22日、中米ホンジュラスが外交関係を維持する台湾に対し、約25億ドル(約3200億円)の経済支援を求めていたと報じた。ホンジュラスのカストロ政権は台湾と断交し中国と国交を樹立する方針を示している。断交を恐れる台湾の足もとを見て、巨額の資金支援を受けようとしている可能性がある。
中央通信によると、ホンジュラスのレイナ外相は13日、台湾の呉釗燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)に対し「最後通告」と記した書簡を送付。同国の債務20億ドルの返済への協力や病院建設など計約25億ドルの支援を要求した。その翌14日、カストロ氏は中国と国交を結ぶ方針を発表した。
レイナ氏は22日、ロイター通信に対し、カストロ氏の発表の約1週間前に台湾側に書簡を送付したと説明。提案内容について「(ホンジュラスの)債務を台湾が引き受ける仕組みに関するものだった」と述べた。
レイナ氏は15日には、カストロ政権が中国と国交樹立を目指す理由を経済の再建だと説明していた。台湾外交部(外務省)は21日の声明でホンジュラスとの外交関係維持について「最大限の努力を続けている」と表明している。
中国の習近平指導部は台湾の蔡英文政権に対する外交的な圧力を強化。台湾が外交関係を維持する国は蔡政権発足時に22カ国あったが、現在はホンジュラスを含め14カ国に減った。断交した8カ国はいずれも中国と国交を樹立した。【サンパウロ中村聡也】