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7割超の生徒が食べ残した大阪の「冷たい給食」 大変貌の理由


 「おかずが冷たい」。そんな不評を買い、7割を超える生徒が食べ残すという給食があった。それから10年。「冷たい給食」は大きな変貌を遂げていた。その理由とは――。

 豚肉と野菜の炒め物、すまし汁、かやくご飯……。3月のある日のお昼時。大阪市立の中学校で、湯気が立ち上る給食が生徒たちの前に並んだ。手作り中心のメニューは約750キロカロリー。文部科学省の摂取基準に沿ったもので、1日約18万食が市立小中学校の児童・生徒たちに届けられている。

 政令市でも数少ない「家庭弁当派」だった大阪市の市立中学校で給食が始まったのは2012年9月。貧困などの理由で満足に食べられない生徒が多いとの理由から橋下徹市長(当時)の肝煎りで導入された。当初の給食は、仕出し弁当を学校に届ける「デリバリー方式」。生徒が弁当持参も選べる選択制でスタートしたものの、「栄養管理がされた昼食の提供は一つの教育」(橋下氏)との方針で14年から順次、全員給食に変わった。

 ところが、市教委の14年の調査で7割以上の生徒が食べ残していると回答した。デリバリー方式は食中毒対策でおかずを10度以下で保存するルールだったため、「冷たい」などと不満が出ていた。

 当時は食べ残しをなくすために「ふりかけの持参」も議論になり、塩分過多を懸念して認めない市教育委員会を橋下氏が「ふりかけの判断ぐらい学校現場に委ねなければ、中央集権そのものだ」と批判するなど内部対立も話題をさらった。

出来たてを提供、献立も工夫

 その後、「冷たい給食」は徐々に改善が図られる。市教委は16年度から、近隣の小学校で作った給食を運び込む「親子方式」や、中学校に給食調理室を整備する「自校調理方式」を段階的に導入。19年度には市立中学128校すべてで出来たての給食が提供されるようになった。

 献立は市内一律で、栄養教諭らが参加する献立会議で毎年ブラッシュアップしている。食材も工夫を凝らし、苦手な子どもが多いレバーはチップにしてカレーに交ぜるなどしているそうだ。市教委の担当者は「一から手作りするメニューも多く、かつてのような『おいしくない』という声はほとんどない」と胸を張る。さらに新型コロナウイルス流行後の20年度からは保護者負担軽減のため給食費を無料にしている。23年度も続ける方針で、当初予算案に約68億円の経費を計上した。

 課題もある。給食調理室がある中学校は現在、全体の1割程度の17校に限られ、残りは近くの小学校などから配送している。途中で冷めないように食缶を二重にする対策が必要なほか、給食を入れたコンテナが配送車内で倒れるトラブルが起こることもあり、「各校で調理室の設置が理想だ」(市関係者)。しかし、敷地スペースや財源の問題などから校舎の建て替えや改築に合わせて設置するのにとどまっている。担当者は「給食は食育の一環。これからも改善を重ねたい」としている。【松本紫帆】

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 この10年、大阪府政や大阪市政では全国でも話題となるさまざまな出来事がありました。一方で、その後のエピソードはあまり知られていません。「あれからどうなった?」と題し、後日談を随時お伝えします。

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