金沢大(金沢市角間町)が学生寮2カ所を3月末で廃止することを決めた問題で、男子寮「泉学寮」に住む学生らが27日、寮の存続を求める4132筆の署名を大学に提出した。記者会見した学生らは、経済的に困窮する学生向けの福利厚生施設が必要とした上で、「せめて今の寮生が卒業するか、転居先が見つかるまでは寮を残してほしい」と訴えた。
署名は昨年3月から寮生らが大学や街頭、オンラインで集めたもので、この日は寮生ら約10人が同大を訪れ、担当者に手渡した。
会見では、大学が廃寮の理由の一つに挙げた老朽化による耐震不足の可能性について、国の耐震基準を満たしていることが判明したと説明。また泉学寮に住む約50人のうち約10人は転居先が決まらず、中には休学せざるを得ない人もいると明かし、存続を求めた。4年生の冨樫洋乃輔さん(22)は、これまでの大学の対応を疑問視した上で「大学は、意見のある寮生が参加できる意見交換の場を作ってほしい」と訴えた。
一方、金沢大は署名提出について「廃止決定以来、4年かけて周知してきた。2寮は老朽化のため学生の安全、安心が保障できない」とコメントし、廃止に理解を求めた。【阿部弘賢】