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さよなら岡島百貨店 85年の歴史に区切り 面積縮小し新装開業へ


 山梨県内唯一の百貨店「岡島百貨店」が14日、甲府市丸の内1の現店舗での営業を終了する。創業180年、市中心部の今の場所で85年の歴史を刻んできた。高度経済成長期には人の肩がふれ合うほどにぎわい、屋上遊園地からは家族連れの歓声が上がった。3月3日に近くの商業施設で新装オープンするが、売り場面積は現在の7分の1に縮小される。思い出多い百貨店が姿を消すことを惜しむ声が後を絶たない。【照山哲史】

「思い出メッセージ」予想上回る数

 岡島は1843年に茶業・呉服として創業。1936年に株式会社・岡島となり、38年に現在の場所で百貨店の営業を開始。45年7月には甲府空襲で内部は全焼したがビル外壁は残った。55年には屋上遊園地が登場。今の建物が完成したのは89年だ。現店舗での営業終了に理由を、雨宮潔社長は「建物の老朽化が第一の原因」(昨年7月の記者会見)と説明している。

 営業終了を受けて企画されたのが、歴史を伝える「岡島の歩み写真展」。倉庫などに保管されていた写真や女性従業員の制服、包装紙などを展示している。昨年9~10月に1階で行われ、好評だったため12月から6階で改めて開催。大型書店「ジュンク堂」(6階)などが1月末で閉店、フロアがクローズとなり、会場を5階に移した。

 企画した営業推進部の予想をはるかに上回ったのが展示スペース向かいに設けた「思い出メッセージコーナー」への投函(とうかん)数だ。甲府や岡島の思い出のメッセージを客らに書いてもらう試み。甲府城から望んだ、岡島が中央に位置する写真のボードに描かれた「WE♥こうふ」の文字を彩るように、メッセージメモを飾る予定だった。ところが、メッセージは、背景の風景写真が見えなくなるほどに。新たにボードを用意、結局3枚になったボードもメッセージで埋め尽くされた。

 メッセージには、自身の人生と重ね合わせた内容が多い。「小学生の時、岡島のマックにくることがごほうびでした。淋しいけど思い出を胸に」(昭和63年生まれ)▽「子供の頃は屋上の遊園地で遊び、レストランでホットケーキを食べ、以来ずーっと楽しませてもらいました。寂しい気持ちでいっぱいです」▽「子どもの頃は親子で訪れ、中高に通っていた頃は友人と、結婚し妊娠中は主人と、1人目、2人目の子どもとお腹の中の3人目と一緒に…。私の生活に岡島がそばにいたことを実感しています」。

 百貨店への憧れをつづったものもある。「『甲府』に行くというと『岡島』が昔からの定番スポットでした。1Fの化粧品のにおい、仕事用の靴もこちらで買い、小さい頃から大人になる頃まで通わせていただきました。今思うと少し背伸びしたくなって大人になる気分が感じられる場所でした」▽「子供の頃から数え切れないくらい岡島に来ました。建物の中に入ると安心感があり、ときめく物を見つける度に日常を忘れることができました」。

 亡き母への思いを重ね合わせた「30年前まで母が勤めていました。いつもどんな時でも仕事一筋だった母。岡島が閉館すると知り、最後に今日、訪れることができました。母は昨年がんで亡くなりました。今日は母も一緒に思い出をたどっていると思います」(2月9日、ゆみっち)というものも。そのほか、夫との初めてのデートが岡島だったとの「告白」もあった。

 最後の週末の11、12日は、多くの人たちが店を訪れた。写真展会場でも、懐かしい写真やパネル、メッセージボードの前にたたずむ人の姿が見られた。

 14日の営業は午後7時までで、終了時に雨宮社長が感謝の気持ちを込めてあいさつする。岡島は、3月3日に「ココリ」(地下1階、20階建て)の地下1階から2階までの3フロアで営業を再開する。百貨店は解体され、商業ビルと28階建てマンションの複合施設が2028年7月に完成する予定だ。

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