ベトナム人女性強殺、60歳被告に無期懲役の判決 大阪地裁

　大阪市淀川区の2階建て住宅で2022年4月、階下の弁当店で働くベトナム国籍の女性（当時31歳）を殺害したとして、強盗殺人や死体遺棄などの罪に問われた住人の元トラック運転手、山口利家（としや）被告（60）の裁判員裁判の判決で、大阪地裁（中川綾子裁判長）は3日、求刑通り無期懲役を言い渡した。

　起訴状などによると、山口被告は22年4月3日朝、出勤したヴォ・ティ・レ・クインさんに「店長にも言われているから、貴重品を持ってきて」と声を掛けて自宅に誘い込んだ後、背後から首を絞めて殺害。現金約2万6000円を奪ったほか、遺体を室内に隠したとしている。

　検察側は論告で、被告はクインさんにうそを伝えて自宅に誘い込み、短くても2分半にわたり首を絞め続けたと指摘。事件後に酒やたばこを購入しており、「強盗目的や殺意は明らか。動機は極めて理不尽かつ身勝手だ」と主張した。

　一方、弁護側は最終弁論で、被告は生活に困窮し、クインさんに金を借りるつもりだったと反論。「大声を出されたため、柔道の絞め技で気絶させようとした」として殺意も否認し、傷害致死と窃盗罪の適用にとどまると訴えていた。【安元久美子】