渡辺明名人（38）への挑戦権を争う第81期名人戦A級順位戦（毎日新聞社、朝日新聞社主催）8回戦の全5局が1日から2日未明にかけ、東京と大阪の将棋会館、名古屋将棋対局場で一斉に行われた。単独首位の藤井聡太王将（20）は永瀬拓矢王座（30）に129手で敗れて今期成績は6勝2敗となり、広瀬章人八段（36）と首位で並んだ。3敗までの6人に挑戦の目が残る混戦状態のまま、3月2日に静岡市葵区の浮月楼で一斉に指される最終9回戦を迎える。
5勝3敗は前期と前々期挑戦者の斎藤慎太郎八段（29）、豊島将之九段（32）、永瀬王座、菅井竜也八段（30）の4人。
「最年少名人」の記録更新がかかる藤井王将は、単独首位から後続に追いつかれた形になり、「最終局ではいい将棋を指せるように全力を尽くしたい。相手の稲葉陽八段は前期順位戦で負けている手ごわい相手なので、いい状態で臨みたい」と前向きに語った。
一方、糸谷哲郎八段（34）は稲葉八段（34）に敗れて1勝7敗となった。佐藤天彦九段（35）が3勝目を挙げて糸谷八段の成績を上回ることになったため、糸谷八段は降級が決まった。第77期に初めてA級入りしてから在籍5期で降級となる。終局後、糸谷八段は「A級にふさわしい将棋を指せていなかったので降級は当然だと思います」と肩を落とした。
最終9回戦の行方は
最終9回戦で、同率首位の広瀬八段と藤井王将の一方が勝てば、単独首位に立った棋士が挑戦者に決まり、2人がともに勝てば両者によるプレーオフとなる。
両者が最終局でともに敗れた場合、6勝3敗で4～5人が並び、トーナメントでのプレーオフが行われる。前期成績に基づく順位が低いほど挑戦権獲得までの対局数が多い変則トーナメントで、前期B級1組だった藤井王将は順位が最も低いため、ここから挑戦者になるには同率首位の全員に勝つという新たなハードルが待ち構えることになる。【丸山進、新土居仁昌】
