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暗躍するロシア“民間”軍事会社「運営は国家予算で」 元傭兵が証言


 ロシアによるウクライナ侵攻では、戦果をアピールする露民間軍事会社「ワグネル」の存在が注目されている。同社の傭兵(ようへい)だったと明かすロシア人男性、マラート・ガビドゥリン氏(56)が1月下旬、長期滞在先のフランスで毎日新聞の取材に応じた。謎が多いワグネルについてガビドゥリン氏は、純然たる民間会社ではなく国家予算で運営されていると明言したうえで、「ロシア指導部にとって帝国的な野望を実現するための道具の一つだ」と指摘した。

「ロシア指導部の野望の道具」

 ワグネルは、プーチン露大統領に近い新興財閥オーナー、エフゲニー・プリゴジン氏と、露軍参謀本部情報総局(GRU)元中佐ドミトリー・ウトキン氏らが2014年に創設した。同年春に始まったウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク、ルガンスク両州一帯)での紛争で親露派武装勢力に加勢してきたほか、シリアなどの中東、アフリカ諸国でもロシアや自社の利益に沿う形で軍事活動を展開する。ワグネルとその関係者は、欧米の制裁対象となっている。

 ガビドゥリン氏は空挺(くうてい)部隊出身の元露軍中尉で、15年にワグネルに参加。19年の脱退までにルガンスク州とシリアに派遣され、一時はロシア北西部サンクトペテルブルクでプリゴジン氏を補佐する仕事もしたという。

 ガビドゥリン氏はワグネルについて「法律で規定されていないが軍同様の武力組織であり、国家予算で運営され、国防省や軍の兵站(へいたん)に依存している」と述べ、プーチン政権との密接な関係を明らかにした。

「プロパガンダは全てうそ」

 ウクライナでは露軍の劣勢も報じられる一方、ドネツク州ソレダルなど戦略拠点をワグネルが制圧したという戦果が伝えられてきた。これに対し、ガビドゥリン氏は「ワグネルが最前線の(兵力の)半分を支えているといった誤った印象が生まれているが、実際は前線の一部分のみで活動している」と分析、プリゴジン氏らの宣伝による誇張との見方を示した。

 ウクライナの戦争が長引く中、ワグネルには大勢の受刑者が採用され、戦線に投入されていると報じられる。この点については「志願者が既に足りず、(戦闘による)人的損失が大きくなっているからだ」と述べ、苦戦を示唆した。

 「私たち(ロシア)のプロパガンダは全てについてうそをついている」とプーチン政権を批判したガビドゥリン氏は、2月下旬で開戦1年となるウクライナでの戦争に対して「ロシアにおける帝国主義の表れと言える。露指導部による全ての(開戦の)口実がこじつけであると理解していないのは愚か者だけだ」と断言。今後については「ロシアがどうにか状況を勝利と呼べる状態にまで修正できたとしても、その勝利は悲惨な結果へと至るだろう」と述べ、ロシアにとって暗い未来を予想した。【フランス南部で真野森作】

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