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中村哲さんら手がけた緑の農地、死去後も拡大続く アフガン東部


 農地は広がり、暮らしが水で潤っていた――。アフガニスタンで医療などの人道支援にあたる福岡市のNGO「ペシャワール会」のメンバーが2022年末、現地を訪れた。19年に現地代表で医師の中村哲さん(当時73歳)が凶弾に倒れた後、会の日本人メンバーが訪れるのは初めて。農地での収穫作業や新たな用水路建設を目指す場所などを視察した村上優会長は「水が流れるまちで人が暮らす光景は『平和』そのもの。中村哲のスピリッツ(精神)が息づいていることが感じられた」と語った。

ペシャワール会が現地で確認

 村上会長らがアフガンを訪れたのは10年が最後。その後は治安の悪化やビザ(査証)の発給停止などで訪問できず、中村さんだけが現地に残って活動を続けてきた。19年12月に中村さんが襲撃され亡くなった後は、現地の実動組織である「平和医療団(PMS)」の職員とオンラインでやり取りし、写真や動画で事業の進捗(しんちょく)状況を確認してきた。

 今回は現地の治安状況が落ち着いたことを受け、村上会長や藤田千代子・PMS支援室長ら8人が22年12月中旬にパキスタン経由でアフガンに入り、約2週間滞在した。アフガン東部のナンガルハル州ジャララバードで22年10月に完成した、中村さんの顔写真が掲げられた記念碑を訪れたほか、医療や農業、かんがい事業の現場を視察して回った。

 村上会長は「集落に水が届き、子どもが走り回り、バザール(市場)が並ぶ様子を見て、随所で中村哲が言っていた通りの『平和』を感じることができた」と話す。用水路の開通で潤った集落を訪れると、長老から歓待されたという。

果樹や麦、養蜂や牧畜も

 会はこれまで、中村さんが手がけたかんがい事業で約1万6500ヘクタールが農地になったとしてきたが、中村さんの死後も農地は広がり、約2万4000ヘクタールになっていることが分かった。琵琶湖(滋賀県)の面積の3分の1超に当たる耕地にサトウキビやミカン、麦が実り、養蜂や食用子牛の飼育もされていた。

 メンバーは新たな用水路建設の候補地も視察し、実務的な打ち合わせや、水流などを確認するテストも実施した。病院設備を拡大したいという提案も現地の職員からあり、今後検討していく。村上会長は「現地との人的交流を増やし、事業を続けていこうという気持ちを改めて強くした。なかなか手が差し伸べられない地への支援をこれからも続けていきたい」と話している。【山口桂子】

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