井戸水で透析 台風15号で断水、静岡のクリニック 近隣にも水提供

 台風15号に伴う静岡市清水区での大規模断水は、市民の暮らしを支える医療機関や福祉施設を直撃した。清水区七ツ新屋の「杉山クリニック」は、敷地内でくみ上げた井戸水を使って腎不全患者たちへの人工透析を継続している。透析には大量の水が必要で、杉山寿一院長(72)は普段通りの医療を提供できることに胸をなで下ろしながらも「大規模災害への備えをもっと真剣に考えなければ」と話した。【五十嵐和大】
 患者1人に1回透析を行う際、約240リットルの水が必要になるという。今回の台風でクリニックが断水したのは日曜の休診日だった25日夕方。受水槽に残った水で翌26日まで通常診療を続け、27日からは井戸水を蒸留して不純物を取り除くことで透析を続けている。
 清水区で30年ほど、透析医療を担う杉山院長。2016年にクリニックを現在地に移転新築した際、井戸水を使う近隣住民の姿が目に留まり、敷地内に井戸を掘ることにした。
 移転当初は水道水からの代替も考えたが、井戸水は鉄分などの水質が異なり、通常の透析には使っていない。しかし東日本大震災では水不足で透析患者の移送が困難を極めた。このため杉山院長は「災害時には役立つはずだ」とひそかに考えていた。
 クリニックには週3回の透析が必要な患者、約150人が通う。台風で診療継続が困難になった近隣の医療機関から15人ほどの患者を受け入れている。近くの住民にも生活用水として提供している。
 杉山院長は「今回は水道以外のライフラインに大きな問題はなかった。大震災の場合は、電気やガスの寸断、スタッフの確保などさまざまなリスクがある。もっと検討が必要だと再認識した」と力を込めた。
 透析に限らず、医療の継続に水の供給は不可欠だ。県の災害派遣要請を受け、自衛隊の給水車が26日以降、清水区内の病院や特別養護老人ホームなどへ派遣されている。

Yahoo!で調べてみよう

    Loading...