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広島平和式典「大使出席を」=政府に異議、信念貫いた米外交官―エレンライク国務省日本部長


 【ワシントン時事】2023年5月に先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開催される被爆地・広島。広島市の平和記念式典には10年8月、ジョン・ルース駐日米大使(当時)が米大使として初めて出席し、これが16年5月のオバマ米大統領(同)の広島訪問へとつながった。米政府は式典出席を長年にわたり見送ってきたが、この方針に異議を唱えた外交官が現在、米国務省日本部長を務めるジョエル・エレンライク氏だ。  ワシントンの国務省で22年12月下旬、時事通信のインタビューに応じた。  05年の初夏、東京・赤坂にある米大使館の一室では、大使の平和記念式典出席を巡り、激しい議論が交わされていた。大使館に勤務していたエレンライク氏は約20人の職員を前に「出席すべきだ」と主張したものの、「悪くないアイデアだ」と同意したのは1人のみ。他は全員が「前例がない」「謝罪と受け取られる」などと反対した。  米国は当時、広島と長崎での原爆忌の式典について、政府方針として大使の「欠席」を続けていた。だが、エレンライク氏は自ら広島平和記念資料館(広島市)に足を運び、被爆者とも交流した経験から、大使出席は反発よりも「日米両国の人々の絆を深める」と感じていた。  エレンライク氏は、政府方針と異なる意見を持つ外交官が上層部に考えを伝え、回答を求める国務省の制度を利用し、本省に直接訴えた。「被爆者は未来の世代のために、より良い世界をつくりたいと考えている」。自身の思いを伝えたが、本省は「方針は変更しない」と回答した。  エレンライク氏は翌06年、異動で在日大使館を後にした。それでも大使出席は「正しいこと」だという信念の下、ズムワルト元国務副次官補らに毎年手紙を送り提言を続けた。ズムワルト氏は06~08年に国務省日本部長を務め、在日大使館首席公使などを歴任した。  そうした思いが実を結び、「核なき世界」を掲げたオバマ政権下でルース大使が広島の平和記念式典に出席。シンガポールに赴任していたエレンライク氏は、その姿をテレビで見守った。「(出席への)種をまくことができ、とても誇りに思った」と振り返る。  エレンライク氏は11年、勇気を持って政府方針と異なる意見を訴えたとして、外交官らで構成する米外交サービス協会(AFSA)から表彰された。ズムワルト氏は表彰に当たって手記を寄せ、「ジョエルは正しかった」とエレンライク氏の判断をたたえている。  国務省内にあるエレンライク氏のオフィスには、広島を訪問したオバマ氏が被爆者の森重昭さんを抱き寄せる写真が掲げられている。  エレンライク氏は「この写真は、未来のために世界をより良くしようというメッセージだ。どんな共同声明にも劣らずに力強い」と説明。「歴史のこの瞬間にわずかでも貢献できたとすれば、これ以上誇りに思えることはない」と語った。 【時事通信社】 〔写真説明〕米国務省のオフィスで、オバマ米大統領(当時)の広島訪問時の写真を前に撮影に応じるジョエル・エレンライク日本部長=2022年12月、ワシントン 〔写真説明〕米国務省でインタビューに応じるジョエル・エレンライク日本部長=2022年12月、ワシントン
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