被害者宅から灯油成分＝車などに傷、６回被害届―飯能３人殺害・埼玉

　埼玉県飯能市美杉台の民家で親子３人が殺害された事件で、被害者宅の室内から灯油の成分が検出されたことが２７日、消防への取材で分かった。 　夫に対する殺人未遂容疑で逮捕された無職斎藤淳容疑者（４０）の自宅から、おのが押収されたことも捜査関係者への取材で判明。県警は他にも複数の鈍器を押収しており、凶器の特定を進めている。 　県警は同日午前、斎藤容疑者を殺人容疑に切り替えて送検した。調べに対し「言いたくありません」と供述を拒んでいるという。 　県警によると、死亡したのはこの民家に住む米国籍の無職ビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん（６９）と妻の無職森田泉さん（６８）、長女の会社員森田ソフィアナ恵さん（３２）＝東京都渋谷区。 　２５日朝、夫妻は民家の庭で、長女は玄関付近で倒れていた。死因はビショップさんが頸髄（けいずい）損傷、泉さんが前頸部（けいぶ）損傷による出血性ショック、恵さんが左側頸部損傷による失血性ショックだった。 　一方、県警は被害者宅の車が昨年８～１２月に傷つけられるなどし、被害届が６回出されていたことを明らかにした。今年１月には車に石を投げ付けたとして斎藤容疑者が現行犯逮捕されたが、不起訴となったという。 　被害者宅では、３人が襲われたのと同じ時間帯に室内で火災が発生。消防によると、１階のリビングと２階の洋室の計約３０平方メートルが燃え、灯油の成分が検出された。県警は、斎藤容疑者が襲撃後に放火した可能性があるとみて調べている。　（了）【時事通信社】