英女王、ゴルバチョフ氏ら逝く＝２０２２年世界の訃報

　ロシアによるウクライナ侵攻が世界を揺るがした２０２２年。かつて歴史の転換点に立ち会った政治家や時代を切り開いた文化人らが、新たな激動の始まりの中で長い眠りに就いた。 　◇歴代最長、「英国民の母」 　エリザベス英女王（９月、９６歳）は１９５２年、父ジョージ６世の急死を受けて即位。歴代最長の７０年にわたり君主の座にあり、閉鎖的な王室の改革を積極的に進めた。「英国民の母」として愛され、国葬には天皇、皇后両陛下やバイデン米大統領ら２０００人超が参列した。 　英国ではまた、北アイルランド和平に貢献し、９８年のノーベル平和賞を受賞したトリンブル英領北アイルランド自治政府初代首相（７月、７７歳）が他界。米国でも、女性初の国務長官で、現職閣僚として初めて北朝鮮を訪問したオルブライト氏（３月、８４歳）、オバマ政権２期目の国防長官だったカーター氏（１０月、６８歳）が死去した。 　◇旧ソ連、中国の指導者 　一時代を画した旧ソ連圏の政治家もこの世を去った。「ペレストロイカ」によるソ連立て直しを図ったゴルバチョフ元大統領（８月、９１歳）は、冷戦を終結に導いたが、経済改革に失敗し失脚。ソ連の解体はウクライナ紛争の遠因となった。ウクライナ初代大統領クラフチュク氏（５月、８８歳）、ベラルーシ初代国家元首シュシケビッチ氏（５月、８７歳）も相次いで亡くなった。 　１３年間にわたり中国のトップに君臨し、高度経済成長をけん引した江沢民元国家主席（１１月、９６歳）は、自身が引き立てた習近平国家主席が権力集中を強める中、生涯を閉じた。アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）のハリファ大統領（５月、７３歳）は同国を中東屈指の経済大国に発展させた。 　◇仏映画界の巨人 　文化・芸能分野では、フランスの映画運動「ヌーベルバーグ（新しい波）」を主導した巨匠ジャンリュック・ゴダール監督（９月、９１歳）や、黒人で初めて米アカデミー主演男優賞を受賞した俳優シドニー・ポワチエさん（１月、９４歳）が人生に幕を下ろした。 　往年の人気歌手オリビア・ニュートンジョンさん（８月、７３歳）、日本にエレキブームを巻き起こした「ザ・ベンチャーズ」創設メンバーの米ギタリスト、ドン・ウィルソンさん（１月、８８歳）らも死去した。 　絵本「ぞうのエルマー」シリーズで有名な英絵本作家デビッド・マッキー氏（４月、８７歳）、ロシアの人気アニメキャラクター「チェブラーシカ」の生みの親、レオニード・シュワルツマン氏（７月、１０１歳）も永眠した。　【時事通信社】 〔写真説明〕エリザベス英女王＝２０１８年４月、ロンドン近郊ウィンザー城（ＡＦＰ時事） 〔写真説明〕ゴルバチョフ元ソ連大統領＝１９９１年９月、モスクワ（ＡＦＰ時事） 〔写真説明〕中国の江沢民元国家主席＝１９９９年１０月、北京（ＡＦＰ時事） 〔写真説明〕ジャンリュック・ゴダール監督＝２００４年５月、フランス南部カンヌ（ＡＦＰ時事）