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幼稚園から情報戦対策=欧州トップのリテラシー教育―SNS投稿の分析力培う・フィンランド


 【ヘルシンキ時事】ロシアが仕掛ける情報戦が、欧米で社会の分断や混乱、反移民機運の高まりを加速させている。極右政党が政権を奪取したイタリアをはじめ、スウェーデンやフランス、デンマークでも排他的政策を掲げる勢力が躍進。背景には、インターネット交流サイト(SNS)を通じて拡散する偽情報があるとされる。国民のメディアリテラシーで欧州1位のフィンランドは、幼稚園から批判的思考を育む教育を取り入れ、国を挙げて偽情報と戦っている。  ◇開始は2、3歳  「これはうその情報です」。新型コロナウイルスワクチンを接種した同僚が死亡したというツイートを分析した中学3年の生徒は、級友らの前でこう発表した。首都ヘルシンキにある公立中学では「事実検証」授業でさまざまな記事やブログ、ツイートを分析。投稿者の経歴や情報源、内容の客観性などから情報の信ぴょう性を精査する。  教師のバレンティナ・ウイットさんは「SNSでは情報の発信者と受け手の間にフィルターが介在せず、真偽を判断できるのは受け手しかいない」と指摘。「次々と出てくる新しいメディアに、親や教師は追い付けない。それを使う子供が情報分析力を身に付ける必要がある」と強調する。  フィンランドでは事実検証の授業だけでなく、数学や芸術を含むすべての科目で批判的思考を教える。「言葉を覚える2、3歳、あるいは幼児教育で先生と関わる年齢から、情報を多角的に分析する教育が始まる」と教育庁のミナ・ハーマネン上級顧問は語る。  ◇6倍速で拡散  今月14日、ツイッターに「バイデン米政権によるウクライナ支援は暗号資産交換企業を介し、米民主党に還流された」との主張が投稿された。その後24時間で2万回以上もリツイートされ、約10万件の「いいね」が付けられた。  ツイッターでは、偽情報が正しい情報の6倍の速さで拡散する―。米マサチューセッツ工科大の研究結果だ。「偽情報は奇抜で目新しく、誰も知らない情報をいち早く伝えたいという人の欲をくすぐる」のが理由という。  ロシアや中国はそうした心理を突く情報戦を展開し、西側諸国の不安定化や世論操作を図る。フィンランドもロシアによる2014年のクリミア半島の一方的「併合」前後から、偽情報の波にさらされるようになった。  ◇一人ひとりが主体  危機感を強めた欧州連合(EU)などは17年、ヘルシンキに欧州ハイブリッド脅威対策センターを設置。来春に総選挙を見込むフィンランド政府も今月、偽情報監視チームを試験的に立ち上げた。  同チームを率いるアンティ・シランパー氏は「コロナ禍の初期、トイレットペーパーがなくなるといううわさが流れ、消費者が店に押し寄せた」と指摘。「偽情報は容易に社会に混乱をもたらすことができる」と話す。  メディアリテラシーが大人にも必要なのは、言うまでもない。「政府と民間企業・団体、市民が協力し、一人ひとりが国家安全保障を担うという意識を持つことが重要だ」とシランパー氏は語っている。 【時事通信社】 〔写真説明〕フィンランドの公立学校で、「事実検証」の授業を受ける中学3年の生徒ら=1日、ヘルシンキ 〔写真説明〕フィンランドの公立学校で「事実検証」の授業を行う教師のバレンティナ・ウイットさん(左から3人目)=1日、ヘルシンキ 〔写真説明〕フィンランド教育庁のミナ・ハーマネン上級顧問=10月28日、ヘルシンキ
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