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リトアニア、対ロ警戒消えず=NATOの「アキレスけん」―不安広がる国境の町


 バルト3国の一つリトアニアでは、ウクライナ侵攻に踏み切ったロシアへの警戒が続いている。リトアニアは6月、欧州連合(EU)が制裁対象とする物資を積んだ貨物列車が同国経由でロシアの飛び地カリーニングラードに入ることを禁止。これにロシアが反発し、危機感が高まった。カリーニングラードにつながるリトアニア・ポーランド国境地帯が、防御の脆弱(ぜいじゃく)な北大西洋条約機構(NATO)の「アキレスけん」であることも懸念材料だ。  ◇国境駅、漂う緊張感  カリーニングラードに隣接するリトアニア南西部キバルタイの鉄道駅を訪れると、サンクトペテルブルク発の列車が停車中だった。人けの少ない構内は国境警備隊が監視の目を光らせ、緊張感が漂う。降車するロシア人乗客はいない。貨物列車の通過禁止は緩和されたが、1日12便程度だった本数は半減したという。  列車が通過してきた首都ビリニュス駅のプラットホームでは、ウクライナ紛争の負傷者や破壊された街の様子などの写真がフェンスに張られている。ロシアからの乗客に、自国メディアでは報じられないロシア軍の残虐行為を見せる狙いだ。ロシア人は「歓迎されざる客」と化している。  キバルタイの対ロ国境近くのアパートに住むジタ・ヤヌクニエネさん(84)は「侵攻後1カ月ぐらいは、きょうにもロシアが攻めてくるのではと怖かった」と話す。今は切迫した状況にないが、それでもプーチン大統領が今月初旬にカリーニングラードを訪問した際は「何か起きやしないかと、窓を開けて様子を確認した」という。  以前はカリーニングラードまで安いウオッカなどを買いに行く市民もいたが、今は様変わりした。国境に近づく人も少ない中、ウクライナからの避難民のヴァディムさん(54)は「敵側を見に来た」とフェンス越しにロシア側をにらんでいた。「プーチンはウクライナを奪い取り、ここに攻めてくるつもりだった」と語気を強めた。  ◇最も危険な場所  ゆるやかな丘陵が広がり、牛の鳴き声だけが響くのどかな光景が地平線まで続く。カリーニングラードとロシアの同盟国ベラルーシに挟まれた約100キロのリトアニア・ポーランド国境地帯は「スバルキ・ギャップ」と呼ばれる。ロシアに制圧されれば、バルト3国と他のNATO加盟国が分断されるため、欧州の戦略的要衝の一つだ。  米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で、ウクライナの反転攻勢で劣勢のプーチン氏が兵士の動員強化を正当化するため、NATOを紛争に引き込む危険性を説く。標的となり得るスバルキ・ギャップは「地球上で最も危険な場所」(米紙ポリティコ)だ。ロシア国防省は8月、カリーニングラードに極超音速ミサイル「キンジャル」を装備したミグ31戦闘機3機の配備を発表するなど、欧州側をけん制している。  ウクライナとは異なりNATO加盟国のリトアニアが攻撃されれば、集団的自衛権が発動され、米国なども参戦することになる。だが、ヤヌクニエネさんは「大国は自分の利益ばかり気にするから、NATOが守ってくれるという約束も信用できない」と不安気に語った。 【時事通信社】 〔写真説明〕リトアニアの首都ビリニュスの駅に張られたウクライナの惨状を写した写真=6日 〔写真説明〕リトアニア南西部キバルタイの駅に停車するロシアの列車=5日 〔写真説明〕リトアニア南部の対ポーランド国境付近=5日
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