核なき世界、米追従では実現できず＝ＮＰＴ岸田首相演説にサーローさん

　【ニューヨーク時事】広島の被爆者でカナダ在住のサーロー節子さん（９０）は１日、核拡散防止条約（ＮＰＴ）再検討会議で演説した岸田文雄首相について「いつまでも米国に追従していては、首相が求める（核兵器のない世界という）社会は来ない」と述べた。会議開幕に合わせニューヨークの国連本部を訪れ、記者団の取材に応じた。 　サーローさんは岸田首相が、日本の首相として初めて再検討会議の場で演説したことは「うれしく、誇らしく思う」と評価した。 　しかし「軍縮のために前進すると言ったが、昨年発効した（核兵器の開発や保有を全面的に禁止する）核兵器禁止条約について一言も言及しなかった」と指摘。ロシアによるウクライナ侵攻で「核軍縮の必要性がより鮮やかに示された」とも述べ、核廃絶に向けて、より踏み込んだ行動を取るよう訴えた。 　ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン（ＩＣＡＮ）」国際運営委員の川崎哲さん（５３）も会見し「スピーチで核禁条約に一言も触れなかったことは残念だ」と語った。　【時事通信社】