大熊町で騎馬行列復活＝相馬野馬追、３年ぶり通常開催―福島

　福島県相馬地方で１０００年以上続くとされる国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」は２４日、甲冑（かっちゅう）姿の騎馬武者による「甲冑競馬」や、「神旗（しんき）争奪戦」などの主要行事が３年ぶりに開催された。東京電力福島第１原発事故で全町避難した大熊町では、事故後初めて騎馬武者行列が行われた。
　相馬野馬追は２３日に開幕し、約３５０騎の騎馬武者が参加。新型コロナウイルス禍で過去２年は規模が縮小されていた。２５日まで開催される。
　南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地では、甲冑競馬に続いて、神旗争奪戦が行われた。花火と共に神旗４０本が打ち上げられ、騎馬武者たちが勇猛果敢に奪い合った。　
　行事の後、騎馬武者たちはそれぞれの古里へ「凱旋（がいせん）行列」をした。大熊町で行われた騎馬武者行列では、２０１９年４月に避難指示が解除された大川原地区を７騎が闊歩（かっぽ）した。
　いわき市に避難している大熊町騎馬会長の小野田淳さん（４７）は「町の変わらない景色に感無量だった。沿道のうれしそうな町民の顔を見て、戻ってきたなと感じた」と感慨深い様子だった。（了）
【時事通信社】
〔写真説明〕相馬野馬追で、打ち上げられた神旗を奪い合う騎馬武者＝２４日午後、福島県南相馬市
〔写真説明〕東京電力福島第１原発事故後、初めて行われた騎馬武者行列＝２４日午後、福島県大熊町