【マドリード時事】バイデン米大統領は、欧州で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)と北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席し、ロシアのウクライナ侵攻を受けた欧州防衛強化など同盟国との結束をアピールした。だが、停戦の道筋は見いだせず、エネルギー価格上昇や食料危機が深刻化する恐れが高まっている。影響は米国にも及びつつある。  「彼(ロシアのプーチン大統領)が望まなかったことが起きつつある」。バイデン氏は6月30日、マドリードでのNATO首脳会議後の記者会見で、北欧のフィンランドとスウェーデンのNATO加盟前進を受けて、成果をこう強調した。  北欧2カ国の加盟申請をめぐっては、トルコが反対姿勢を貫き、今回の会議では「進展はない」(米専門家)とみられていた。だが、会議直前の交渉でトルコが加盟支持に一転。バイデン氏はトルコのエルドアン大統領と会談し、トルコが望むF16戦闘機供与を容認する考えを示すなど一定の役割を担ったとみられる。  さらに米国のNATO防衛への関与を深め、ポーランドに常駐部隊の設置を表明。英国への最新鋭ステルス戦闘機F35追加派遣やスペインへの駆逐艦増派も発表した。バイデン氏は「プーチン氏が侵略した場合に行うと言明したことを行っている」と語った。  対ロ協調を自賛するバイデン氏だが、侵攻の長期化は各国に厳しい問題を突き付ける。ウクライナ産農産物が国内に滞り、食料価格が高騰。中東・アフリカ諸国で大きな懸念となっている。G7サミットでは飢餓対策などで45億ドル(約6100億円)の追加支援で合意したものの、輸出を阻害するロシアによる黒海封鎖は続いている。  足元の米国経済にも影響が表れている。車社会の米国はガソリン価格の上昇が国民の家計を直撃。バイデン氏は記者会見で「突き詰めればガソリン価格上昇はロシアのせいだ」と非難した。「食料危機の原因もロシアだ」と述べ、ウクライナ侵攻を始めたプーチン氏に責任を押し付けた。  11月に中間選挙を控えるバイデン氏の支持率は4割を切る世論調査もあり、反転の兆しは見えない。バイデン氏は7月中旬にサウジアラビアを訪問し、湾岸協力会議(GCC)首脳会議で石油増産を呼び掛ける考え。ただ主要産油国のサウジなどは増産余力に乏しいとの情報もあり、湾岸諸国が応じるかは不透明だ。 【時事通信社】 〔写真説明〕6月30日、マドリードで記者会見するバイデン米大統領(AFP時事)

情報提供元 : 時事通信社
記事名:「 欧州防衛強化、成果誇示=資源高、食料危機に直面も―バイデン米大統領