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「文政権否定」加速=検察が捜査、野党反発―韓国


 【ソウル時事】韓国の尹錫悦政権が、北朝鮮などをめぐる文在寅前政権の対応を否定する動きを加速させている。検察は前政権高官に対する捜査を本格化。前政権の与党だった現野党「共に民主党」が反発しているが、尹政権は「不正常の正常化」と位置付け、対立の激化を辞さない構えだ。  尹政権が特に問題視するのは、2020年9月に黄海の北朝鮮海域で漂流していた韓国公務員を北朝鮮が射殺し、遺体を海上で焼却した事件。前政権は、借金で自暴自棄になった公務員が北朝鮮に渡ろうとしたとの見方を示していたが、海洋警察、国防省は今月16日、その証拠を見いだせなかったと発表し、謝罪。大統領直属の行政監視機関、監査院が監査に着手した。  文前大統領は当時、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(現総書記)と親書を交換したばかりで、国連総会で「終戦宣言」の実現を訴える予定を控えていた。与党「国民の力」は、前政権が北朝鮮側に救助要請しなかった上、北朝鮮の「蛮行」を矮小(わいしょう)化し、責任追及を回避しようとしたとみて、特設チームをつくり真相究明の動きを強めている。  尹大統領は22日には、前政権の「脱原発」政策を「ばかな行為」とこき下ろした。検察も、前政権で産業通商資源相を務めた白雲揆氏を傘下機関の人事に不当に介入した疑いで捜査しており、当時の大統領府関係者に捜査が及ぶ可能性も指摘されている。  与党が国会で少数派にとどまる中、野党との対決姿勢は必ずしもプラスではない。与党関係者は「政治状況だけ考えれば、(前政権たたきを)やらない方がいい。(1日に行われた)統一地方選後、内紛の兆しがある野党をむしろ結束させる面もある」と語る。  それでも、尹氏は「反文在寅」世論を追い風に大統領に当選した経緯がある。同関係者は「尹政権は、前政権が不正常だったという前提に立っている。今は正常化の過程だ」と指摘。「それを避けて通れば尹氏は正統性を失う」と強調した。 【時事通信社】 〔写真説明〕韓国の尹錫悦大統領=5月10日、ソウル(EPA時事)
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