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北朝鮮に誤ったサイン=国連安保理の決議案否決―専門家


 【ソウル時事】国連安全保障理事会は5月26日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮への制裁を強化する決議案を採決したが、中国とロシアの拒否権行使で否決された。安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネル元委員で「オープン・ニュークリア・ネットワーク」の古川勝久・上級アナリストに影響などを聞いた。
 ―否決の受け止めは。
 想定通りの結果だ。中ロは特に昨年以降、一貫して制裁を緩和すべきだという立場を取っている。北朝鮮がいかなる安保理決議違反をしても問題視せず、米国の姿勢にこそ問題があると主張してきた。他方、中ロ両国内の企業や個人による制裁違反には寛容な姿勢で、ほぼ野放しだ。
 北朝鮮にICBMなどの弾道ミサイルや核兵器の開発について安保理は何も対応しないというメッセージを送っている。核実験やICBM発射に対して安保理は石油輸出制限などの「重要な措置」を取ると決定した2017年12月採択の安保理決議に明確に違反しており、無責任である。
 ―決議案を主導した米国が、中ロの拒否権行使を予想していたという見方もある。
 米国も対応が手ぬるい。国連制裁に違反した中ロの企業や金融機関、個人は、国連制裁パネルの捜査でも多数摘発されてきた。しかし、バイデン政権になってから、これらへの単独制裁をあまり積極的に行っておらず、最小限に控えているとの印象だ。米政府は制裁違反者に関するインテリジェンス(諜報=ちょうほう=)活動にもっと人員と予算を投じる必要がある。
 ―今後の北朝鮮の動きに影響を与えるか。日米や国際社会はどう対応すべきか。
 影響する可能性が極めて高い。北朝鮮は中ロとの安全保障面での協力関係強化をうたっている。北朝鮮が何をしても中ロが不問に付すなら、ミサイル発射や核実験を自制するインセンティブ(動機付け)は北朝鮮にはほぼ皆無だろう。日本は米国や欧州と協力して、北朝鮮やその協力者への単独制裁を国際協調の下で科す必要がある。
 ―韓国政府は北朝鮮が7回目の核実験の準備を終えたとし、起爆装置の作動試験を探知したことも明らかにした。
 北東部・豊渓里にある核実験場の衛星画像を見ると、(18年に爆破した)南側坑道の入り口付近は修復が完成したとの印象を受ける。一般的には、新型コロナウイルスがまん延している上、軍人も動員する田植えなど農業の繁忙期のこの時期に核実験を行うインセンティブは少ないと思う。しかし、金正恩総書記の意向いかんで、いつでも実験に踏み切る可能性はある。また、過去6回中2回は9月初旬に行われており、9月9日の建国記念日の前などに行う可能性も考えられる。 【時事通信社】
〔写真説明〕国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネル元委員で「オープン・ニュークリア・ネットワーク」の古川勝久・上級アナリスト(本人提供)
〔写真説明〕国連安全保障理事会=2月28日、米ニューヨーク(AFP時事)
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