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複雑な海流で捜索難航=海難専門船が現場へ―不明12人、7日で発生2週間・知床事故


 北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故は7日、発生から2週間となった。第1管区海上保安本部(小樽市)などは船舶や航空機による行方不明者12人の捜索を続けるが、複雑な海流の影響で難航している。  7日午後にも、海難事故を専門とする民間業者のサルベージ船が網走港に入港する。その後、現場海域に移動し、同本部などと不明者の捜索と船体引き揚げに向けた準備を進める。  カズワンは水深約120メートルの海底に沈んでいるが、海上保安庁の潜水士が潜れるのは60メートル程度が限度とされる。民間船到着後は無人潜水機による調査を実施。5月中旬にも、特別な設備で潜水深度の水圧に体を慣らして潜る「飽和潜水」という技術を用いて船内の捜索を始める。   北海道大低温科学研究所の三寺史夫教授(海洋物理学)によると、知床半島西側には稚内沖から「宗谷暖流」が流れ込み、北上。知床岬沖で国後島のある東に進む流れと、半島東側の羅臼方面に南下する流れに分岐する。さらに事故当日前後には、岬の北西に反時計回りの渦が発生し、より複雑な海流となっていたという。  宗谷暖流に乗ると、2週間で最大300キロ流される可能性があるといい、三寺教授は「時間の経過で、捜索範囲は広がる」と指摘する。事故5日後の4月28日に男性3人の死亡を確認してからは新たな不明者の発見には至っていない。  同本部によると、ロシアと調整が続いていた北方領土・国後島周辺海域でも、今月5日午後から海保の巡視船が捜索を開始。具体的な海域は明らかにしていないが、知床半島と国後島の中間線より東側とみられ、6日も続行している。  事故ではこれまでに14人の死亡が確認された。同本部などは運航会社「知床観光船」の関係先を業務上過失致死容疑で家宅捜索したほか、桂田精一社長(58)にも任意で事情聴取。安全管理上の過失がなかったか捜査を本格化させている。(了) 【時事通信社】
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