熊谷６人殺害、県への賠償認めず＝遺族側敗訴―さいたま地裁

　埼玉県熊谷市で２０１５年、ペルー国籍の男が男女６人を殺害した事件で、県警が住民への情報提供を怠り被害を防げなかったとして、妻子３人を失った加藤裕希さん（４９）が県に約６４００万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が１５日、さいたま地裁であった。石垣陽介裁判長（市川多美子裁判長代読）は県の賠償責任を認めず、請求を棄却した。 　石垣裁判長は、県警は最初の被害者が発見された１５年９月１４日、殺人と断定する前に事件発生を報道機関に伝えるなど「できる範囲で情報提供を行っていた」と認定。「原告の無念さは察するに余りある」としながらも、県警の情報提供の手法に違法性は認められないと結論付けた。 　判決後に記者会見した加藤さんは、「今は怒りしかない。とにかく気持ちを切り替えてもう一踏ん張りしたい」と語り、控訴する意向を示した。 　事件は１５年９月１４～１６日に発生。ナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者（３６）＝強盗殺人罪などで無期懲役確定＝が熊谷市の民家３棟に侵入し、加藤さんの妻＝当時（４１）＝と小学生の娘２人を含む計６人を殺害した。　（了）【時事通信社】