逮捕の男、散弾銃２丁用意＝医師ら呼び付け、襲撃計画か―人質籠城、殺人容疑で送検

　埼玉県ふじみ野市の民家で人質の医師が殺害された立てこもり事件で、殺人未遂容疑で逮捕された住人の渡辺宏容疑者（６６）が散弾銃２丁を用意していたことが２９日、埼玉県警への取材で分かった。うち１丁は居合わせたクリニックのスタッフに取り上げられたが、残る１丁で銃撃したという。 　県警は同日、容疑を殺人に切り替え、渡辺容疑者を送検。事件発生当日、同容疑者が母親（９２）の死亡確認をした医師らを自宅に呼び付けていたことから、みとりをめぐってトラブルとなり、銃撃を計画した可能性もあるとみて調べている。 　事件は２７日午後９時ごろ発生した。渡辺容疑者は散弾銃を発砲し、医師の鈴木純一さん（４４）を人質に取り、籠城。約１１時間後の２８日午前８時ごろ、突入した捜査員によって身柄を確保された。 　県警によると、渡辺容疑者は約３年前の転居後間もなく、鈴木さんが経営する在宅クリニックの訪問看護を利用していた。事件発生前日に母親が病死した際にみとったのが鈴木さんだった。 　当日は渡辺容疑者に呼び付けられ、鈴木さんはスタッフと７人で訪問した。母親の遺体が安置される６畳間でトラブルになったとみられ、同容疑者は散弾銃２丁や催涙スプレーを持ち出したが、１丁は一緒にいたスタッフが取り上げ避難。しかし、残る１丁で理学療法士の男性（４１）が銃撃を受けて重傷を負い、鈴木さんもこの時、胸を撃たれたとみられている。 　２丁は２０００年と０８年、標的射撃のための銃所持許可を受け、２０年１１月に許可更新されていた。県警はこうした銃所持の経緯についても調べるとみられる。（了）【時事通信社】