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湾岸戦争賠償金、30年かけ完済=対クウェートで6兆円―イラク


 【カイロ時事】イラクのフセイン政権によるクウェート侵攻をきっかけに始まった1991年の湾岸戦争で、敗れたイラクに科せられた賠償金約524億ドル(約6兆円)の支払いが今月完了した。イラクのメディアが伝えた。米軍主導の多国籍軍が同年2月にクウェートを解放してから、完済までに30年超の歳月を要した。  国連安全保障理事会は停戦後の91年、イラクに「不当な侵攻・占領に伴う賠償責任がある」とする決議を採択。安保理付属機関として「補償委員会」を設置し、湾岸戦争の責任や損害額の算定を進めた。委員会は個人や団体などから270万件の賠償申し立てを受け、うち150万件が認められた。  石油輸出国機構(OPEC)で第2位の産油国イラクは、賠償金の原資に原油や石油関連製品の輸出収入の一部を充て、国連が設けた基金を通じてクウェートに払ってきた。2014年に過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦の影響で支払いを一時中断したが、18年から再開された。  イラクでは脆弱(ぜいじゃく)なインフラや劣悪な公共サービスへの不満から抗議デモが相次ぎ、政情不安と治安の改善が急務だ。AFP通信によれば、イラクの経済担当首相顧問は「(賠償金は)小さな額ではない。イラクに長期の恩恵をもたらす電力網を構築できるほどの額だった」と指摘。補償を終えたことで、今後は国内の開発計画に一段と資金を充当できると強調した。 【時事通信社】 〔写真説明〕イラク軍が撤退時に放火し炎上を続ける油田=1991年4月、クウェート市近郊アハマディ(AFP時事) 〔写真説明〕クウェート撤退に際し遺棄されたイラク軍のソ連製戦車の横を通る多国籍軍の車列=1991年2月、クウェート市(AFP時事)
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