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政権人事「論功行賞」色濃く=安倍・麻生氏に配慮―岸田氏


 自民党の岸田文雄総裁が政権人事の骨格を固めた。政権基盤の安定を最優先に、総裁選で支援を受けた派閥を中心にポストを割り振った結果、論功行賞の色彩が濃厚だ。安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相ら重鎮への配慮もにじむ。  内閣の要となる官房長官には、細田派の松野博一元文部科学相を起用する。岸田氏の政調会長時代に政調会長代理を務めるなど、気心の知れた間柄だ。  執行部で焦点となる幹事長には、麻生派の甘利明党税調会長を指名。総裁選では岸田氏を選対顧問として支えた。安倍、麻生両氏との盟友関係は、党内で「3A」と称される。  これにより、政府・党の中枢を最大派閥と第2派閥が占めることになる。  選対委員長に就任する谷垣グループの遠藤利明元五輪相は、菅義偉首相に大敗した昨年の総裁選に続き、岸田陣営の選対本部長を務めた功労者。2度目の政調会長となる高市早苗前総務相は、安倍氏が要職起用を強く要求した結果だ。国対委員長に充てる高木毅衆院議院運営委員長も、安倍氏の出身派閥・細田派に所属している。  総裁選で、安倍氏は高市氏を全面支援。決選投票ではその票をまとめて岸田氏の勝利につなげた。麻生氏は派内から河野太郎規制改革担当相が出馬しながら、麻生派として岸田氏と河野氏の双方を支持すると決定。重鎮2人が新政権の「キングメーカー」として影響力を誇る構図が鮮明になりつつある。  実際、岸田氏は30日、東京都内のホテルで麻生氏と会談。事前に人事構想を伝えたとみられる。安倍氏の元にも、岸田派事務総長で安倍氏と親密な根本匠元厚生労働相を派遣した。  総裁レースを争った河野氏は、広報本部長に就く。目前に迫った衆院選の発信力強化を担うが、幹事長など党4役と比べて「格落ち」感は否めない。河野氏を支えた小泉進次郎環境相や石破茂元幹事長が、安倍氏らを念頭に派閥批判を展開したことも影響したもようだ。  わずかに独自色を見せたのが、総務会長に起用する当選3回の福田達夫衆院議員だ。党改革を求める派閥横断の「党風一新の会」代表世話人を抜てきし、総裁選で掲げた「中堅・若手の登用」の象徴とする思惑が透ける。ただ、党の意思決定機関である総務会は「うるさ型」のベテランが多く、調整能力が問われる。  党内からは早くも「刷新感が出ない」(関係者)などと不満が漏れる。党幹部は「派閥の長から意見を聞きすぎるのは良くない。選挙は負けるかもしれない」と懸念。身内のはずの岸田派中堅すら「ひどい人事だ。安倍政権そのものだ」と断じた。 【時事通信社】 〔写真説明〕自民党本部を出る岸田文雄総裁=30日午後、東京・永田町の同党本部
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