生涯にわたって拍動を繰り返す心臓の筋肉(心筋)に特有の仕組みを、東京大の茅元司助教らの研究チームが分子レベルの観測で解明した。心筋症の発症要因の解明につながる成果といい、論文は11日までに、米科学アカデミー紀要に掲載された。  心臓の筋肉は2種類の繊維状たんぱく質「ミオシン」と「アクチン」が相互に重なり合っている。収縮時にはミオシンの先端が変化(構造変化)を起こし、アクチンと結合して引っ張り、弛緩(しかん)時には外れて元に戻る。手足などを動かす速筋も同じ仕組みだが、なぜ、心筋が強い収縮と素早い弛緩を長期間繰り返せるのかが分かっていなかった。  研究チームは、レーザー光で微細な対象を動かす「光ピンセット」を使い、ブタの心臓から採取した心筋ミオシンがアクチンと相互作用する時の動きや力を分子レベルで観察。速筋との違いを調べた。  その結果、速筋ミオシンでは筋肉を収縮させる構造変化だけが起きるが、心筋ミオシンは収縮させた後に逆向きの構造変化を起こし、アクチンと長時間結合。これにより心筋全体で大きな力を維持し、その後一気にミオシンが外れて急速に弛緩していたことが判明した。エネルギー消費が少なく、心臓の安定した拍動に適しているという。  心不全を起こす心筋症の中には、心筋ミオシンの遺伝子に変異があるものが多いといい、茅助教は「発症要因解明につながる重要な分子メカニズムだ」と話している。 【時事通信社】

情報提供元 : 時事通信社
記事名:「 心筋の仕組み、分子レベルで解明=長期拍動に適した動き実現―東大