今年の夏は、記録的な猛暑が続いています。フル稼働しているエアコンの影響で、夏の電気料金が気になるのはきっと私だけではないはず……。
しかし、電気料金を左右しているのは、実は「電気使用量」だけではないことをご存じですか?
電気料金には「燃料費調整制度」というものがあり、燃料価格や為替レートの影響が電気料金に反映される仕組みになっています。すなわち、燃料価格が上昇すると、電気料金も自動的に上昇することになるのです。
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研が、20~40代の女性を対象に行った「家庭の電気料金」に関する意識・実態調査によると、今回の調査対象のうち、この「燃料費調整制度」を知っていた人は、わずか全体の4人に1人(25%)にとどまりました。
また、電力会社は再生可能エネルギーで発電された電気を、一定期間決められた価格で発電事業者から買い取ることが義務づけられています。そして、その費用は「再エネ賦課金」として、企業や家庭といった電気の使用者が負担しています。しかし、この「再エネ賦課金」が徴収されている事実を知っていた人も、「燃料費調整制度」よりも少数で、全体の5人に1人(20%)となりました。
さらに、2018年7月には生活者の電気料金にも大きくかかわる、新しい「エネルギー基本計画(第5次エネルギー基本計画)」が閣議決定されましたが、この事実を知っていた人はさらに少なく、わずか7%。電気料金自体は気になるものの、その料金を左右する仕組みや考え方については、理解できていない人が多いと言えそうです。
「第5次エネルギー基本計画」は、2015年に定めた「エネルギーミックス(電源構成)」を前提として、その実現に向けた課題を整理した内容になっています。この「エネルギーミックス」は、再生可能エネルギー、火力、原子力など、特定の電源に過度に依存することなく、さまざまな発電方法をミックスした比率。これにより、燃料価格が上昇しても別のエネルギーにシフトしたり、逆に下落すればそちらを買っておくなどの調整がしやすくなります。
また、「再エネ賦課金」の問題についても、コストの安いエネルギーと組み合わせることが、負担をおさえるうえで重要な要素になります。
そして、「第5次エネルギー基本計画」において注目されているのが、「脱炭素」という考え方。地球温暖化の原因となるCO2などの排出を防ぐために、石油や石炭などの化石燃料から脱却する「脱炭素」化の流れが世界的に進んでいます。
このような国際的な流れもふまえて、「第5次エネルギー基本計画」では「再生可能エネルギー」と「原子力」の位置付けを明確にしており、原子力は将来にわたる重要なベースロード電源として、2030年時点での電源構成比率を20~22%としています。また、2050年に向けての対応の中でも、「実用段階にある脱炭素化の選択肢」と位置づけられています。
電気が安定的に供給されるのは、決して当たり前のことではありません。国民ひとりひとりが他人事ではなく、自分自身の問題として対策を考えることが大切なのではないでしょうか。
【参考】
トレンド総研
http://www.trendsoken.com/