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発売2か月で2,000尾を突破!浜名湖産うなぎの新ブランド「井口の誉」が誕生した背景とは


うなぎの名産地として知られる静岡県浜松市で、これまで廃棄されることもあったうなぎの頭を生かした、新たな蒲焼が誕生しました。


国産うなぎの持ち帰り・地方発送を専門とする有限会社うなぎの井口が、2026年6月に発売した浜名湖産うなぎ蒲焼ブランド「井口の誉」は、発売から2か月で販売数2,000尾を突破。


今回は、同社の代表取締役・井口恵丞さんにインタビューを行い、新ブランド誕生の背景や特製だれの開発秘話、うなぎの未利用資源を活用する取り組みについてお話を伺いました。


 


浜松のうなぎ文化を支える持ち帰り専門店「うなぎの井口」とは


静岡県浜松市浜名区に店舗を構える「うなぎの井口」は、国産うなぎの持ち帰りや地方発送、通信販売を専門に行ううなぎ専門店。



一般的なうなぎ料理店とは異なり、店内での飲食は提供せず、白焼きや蒲焼きを自宅で楽しむ方や、贈答用に購入する方に向けて商品を販売しています。


代表取締役の井口恵丞さんによると、浜松には、うなぎの養殖とともに育まれてきた「白焼き」の文化が根付いているのだそう。



「当店は、もともとたれが付いていない白焼きがメインでした。浜松はうなぎ養殖の発祥の地であり、今でも白焼きという文化が残っているんです。」


他の地域ではうなぎはお店で食べたり、蒲焼きを購入するのが一般的ですが、浜松では白焼きを購入し、家庭でたれを使って蒲焼きに仕上げる食べ方が受け継がれている地域だと説明。



同店でも白焼きと蒲焼きのたれを一緒に購入する客が多く、自宅でフライパンを使って約3分で調理できるよう、調理方法を記載したしおりや、QRコードから視聴できる動画なども用意しているのだとか。



また、工業や農業が盛んな浜松では、食品を持ち帰り、自宅でひと手間を加えて食べる「中食文化」が発達していると井口さんは説明。


「この中食文化が発展しているからこそ、当店のような持ち帰り専門のお店が成り立つんです。浜松はうなぎの養殖の歴史から白焼きの文化が残っていて、持ち帰りの文化もある。当店のような業態の店舗がやっていけているのは、静岡県の西部という地域だからこそと言えると思いますね。」


年間約2万件の地方発送を行う同店が大切にしているのは、商品自体の品質だけではありません。


購入後の保存方法や持ち運び方法、調理方法まで含めたサービスの提供を重視し、店頭や電話で客の利用目的を伺いながら、それぞれに適した案内を行っているといいます。



「たとえ商品の素材などにこだわったとしても、お客様の口に入るときにおいしくなければ、ただの独りよがりになってしまいます。ですので、商品の品質はもちろんのこと、持ち運びや保存、調理方法も同じように大切にしています。」


こうした地域に根差した販売スタイルを続ける一方、うなぎの加工過程では頭や骨など、活用されずに廃棄※される部位も発生していました。

※関西圏では「半助」として、うなぎの頭を食べる習慣がある


井口さんは、こうした未利用資源が生じることも、今回の新ブランド開発につながる背景の一つだったと語ります。


 


廃棄されるうなぎの頭を旨味に!新ブランド「井口の誉」誕生の背景と開発秘話


うなぎの井口が2026年6月1日に発売した「井口の誉」は、希少な浜名湖産うなぎを、通常は廃棄されることもあるうなぎの頭から抽出した旨味エキスを使用した特製だれで焼き上げた、新たな蒲焼きブランド。



同商品には、指定された餌で育てられ、柔らかくふっくらとした食感が特徴の浜名湖産うなぎを使用しています。


さらに、特大サイズのうなぎを採用し、食べ応えにもこだわりました。


井口さんによると、浜名湖産うなぎを使った商品を求める声は20年以上前から寄せられていたものの、希少性だけでなく、安定した品質を提供できるようになったことが、今回の商品化につながったのだそう。


一方、開発のもう一つの大きなきっかけとなったのが、日々の加工現場で発生するうなぎの頭や骨などの未利用資源でした。


井口さんは、



「普段、僕も現場でうなぎをさばいています。当然、頭や骨(などの部位)は毎日出るわけです。それをそのまま廃棄してしまうのは、やっぱりもったいないと思っていました。」


と、日頃から感じていた課題について説明。


うなぎの頭は、特に顎の骨が非常に硬く加工に手間がかかるうえ、そこに含まれる旨味や活用するメリットなどが世間に十分に知られていないことから、再利用が進みにくい部分なのだといいます。


そこで同社は、協力工場や醤油メーカーらと連携し、うなぎの頭を発酵させて旨味を抽出する取り組みを進めました。


こうして生まれた魚醤を蒲焼きのたれに加えることで、砂糖や醤油だけでは表現できない奥行きのある味わいを実現。


ふっくらと柔らかな浜名湖産うなぎと、旨味を重ねた特製だれを組み合わせた商品が誕生しました。



特製だれには、浜松産ハチミツや地元蔵元「花の舞」の日本酒、静岡県産醤油なども使用し、地域の素材を生かした味づくりを行っています。


ただし、旨味を加えれば加えるほど、おいしくなるというわけではありません。


開発時に特に苦労したのは、魚醤をたれに加える配合割合の調整だったと井口さんは振り返ります。



「一口食べたときに“おいしい!”と思ったとしても、食べ進めていくと“くどくなってしまう”こともあります。うなぎを単体で食べたときだけでなく、うな重やうな丼としてご飯と一緒に食べたときの味も考えながら、魚醤を入れる割合を何度も調整しました。」


最初の一口から最後までおいしく食べられるよう、旨味の強さや後味のバランスを追求した「井口の誉」は、これまで十分に活用されてこなかったうなぎの頭に新たな価値を見いだし、食品ロスの削減と蒲焼きのおいしさの両立を目指した商品となっています。


 


発売から2か月で2,000尾を突破!「井口の誉」を通じて広げるうなぎの魅力と地域資源の可能性


2026年6月の発売からわずか2か月で、販売数2,000尾を突破した「井口の誉」


お中元や土用の丑の日に向けた需要に加え、県外の家族・親戚へ浜松ならではの贈り物を届けたいという方からも選ばれています。



井口さんは、


「購入の決め手になっているのは、やっぱり浜名湖産だということと、大きさが大きいというところですね。それから、たれも地元の素材にこだわっています。旨味、浜名湖産、特大サイズ。この3つがお客様のニーズに合っていると思います。」


と、購入の決め手について説明しました。


実際に購入した方からは、後味のすっきりとした甘さや、箸で切れるほど柔らかく、ふっくらとした食感を評価する声が寄せられているといいます。


また、同店では商品の産地を明確に伝えることも重視。


店頭での販売や地方発送の際には、生産者や仕入れ先を確認できる産地証明書によって、購入者だけでなく、贈り物を受け取る方にも商品の背景が伝わるよう工夫しているそう。



今後は販売チャネルの拡大も進める方針で、取材時には静岡伊勢丹のお歳暮への採用や、ふるさと納税への掲載が決定していることを明かしました。


さらに、都内で開催される通販関連の展示商談会にも出展し、百貨店などへの販路拡大を目指しているとのこと。


一方、井口さんが見据えているのは、商品の販売拡大だけではありません。


同店では以前から、うなぎの頭をドッグフードの原料として活用するほか、肥料に加工し、農業へ還元する取り組みなども行ってきました。


かつては、うなぎの頭を使った肥料で育てた米を「うなぎ米」として展開するなど、地域の生産者と連携した資源循環にも取り組んでいたといいます。


現在も、うなぎの残渣(ざんさ、残りかすなどのこと)を肥料として農業に生かす新たなプロジェクトに、井口さん自身が顧問として参加。


地元の高校や大学などとも関わり、若い世代が地域の産業や食文化に触れる機会づくりを進めています。


特に若年層を中心に起こっている「うなぎ離れ」を防ぐ意味でも、若い世代とうなぎの接点を設けることは急務だと語った井口さん。


こうした活動について、



「違う角度でうなぎとの接点を増やしていくことは、当店だけではなく、浜名湖の地域全体としても非常に大事なことなんです。取り組みを広げていくことに関しては、僕も惜しみなくノウハウをお伝えしていますし、アドバイスをしながら、僕自身も勉強させてもらいたいと思っています。」


と、地域全体で取り組むことの重要性を語りました。


うなぎの未利用資源を活用することは、単に廃棄物を減らすだけではなく、新たな商品や産業を生み出し、若い世代が地元に関心を持つきっかけにもなり得ます。


食材の価値を見直す取り組みが、地域の魅力を次の世代へ伝えることにもつながっているのです。



最後に、食品ロスに関心を持つ読者に向けて、井口さんは次のようなメッセージを寄せました。


「もったいないというのは、ただ単に捨てる量がもったいないということだけではなく、実はその中に埋もれている“良さ”があるわけです。僕らでいうところの、うなぎの頭に含まれる旨味がそうですね。」


さらに、


「捨てる量だけではなくて、その素材や料理が持っているおいしさやメリットも大事なことです。そういったところを考えると、食べ物にもっと愛着を持って、大事に食べる、大事に注文するようになると思います。食べ物を大事にするということは、生活の中でも大きなベースになりますから、食材に愛着を持つことはすごく大切だと思います。」


と、食材の価値を見つめ直すことの大切さを訴えました。


これまで捨てられていたうなぎの頭に新たな価値を見いだし、地域の食文化や資源を未来へつなごうとする「うなぎの井口」の挑戦は、食品ロスの削減にとどまらない、食の新たな可能性を示しているといえるでしょう。


うなぎの井口:https://www.una-iguchi.jp/

井口の誉:https://www.una-iguchi.jp/c/homare_kabayaki/16_x_large/homare_kabayaki_xl_2

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