毎日寒いさむいと思いながらも夕方になると、少しずつ日が長くなってきていることに気付いたり、野菜売り場では菜の花、ブロッコリーやスナップエンドウなどグリーンの野菜を多く見かけたりするようになり、春が近づいてきていることを感じるようになってきました。早く症状が出る人は、年明けくらいから花粉症に困っている人もいるのではないでしょうか?自然の中で生活をしている私たち。季節が移り替わっていくときには、私たちもその季節に合わせた生活への切り替えが必要です。今回はアーユルヴェーダの春の養生法をご紹介します。
春に多くみられる不調
春の不調の代表格はなんといっても花粉症ですよね。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目ヤニや目の痒みなどの症状が出ることが多いですが、それだけではなく鼻づまりから眠りが浅くなって疲れが取れなくなる、風邪が治らず咳や痰がからみ、不調が長期間続くということもよく聞きます。また、体の冷えやむくみ、眠気が取れない、心もなんとなく重く鬱っぽくなるという症状も春に出やすいものですね。
春は冬に溜め込んだ“カパ ”のエネルギーが強くなる季節
冷たい風が吹き、寒く乾燥した冬には、“ヴァータ”というエネルギーが高まるため、体も冷えやすく肌や喉の乾燥が生じます。そこで私たちは、温まろうとシャワーだけではなく湯船につかる、温かいドリンクや食事を取る、乾燥した肌にはオイルやクリームなどで保湿をしますよね。これは、季節の中で増えている ヴァータのエネルギーのバランスをとるための働きです。ヴァータが持つ「冷・軽・乾燥」という性質とは反対の「温・重・油(潤)」というカパの性質を取り入れることで、バランスを整えているのです。食事も温かく適度に油分と水分が含まれ、体に力強さを与えてくれるような重たさのあるもの、例えば乳製品や肉、魚、卵、穀物など冬の時期には少しこってりしたものも摂取しますよね。
春は消化力が低下する
冬の寒い季節には冷えによって“アグニ”といわれる消化力も低下すると思うかもしれませんが、実は逆に消化力は1年を通して冬が一番強くなっています。強いアグニにより、栄養のあるものを摂取し、消化、吸収、代謝をして体に力強さを与えることができるのです。これもカパを増やすことになります。
冬の食生活をここで一旦リセットをすることが、カパを増やしすぎないためにはとても大切です。
アグニが低下しているのに、クリスマスや年末年始に食べるような動物性タンパク質の多い食事、揚げ物、乳製品をたくさん使った食事など、消化に負担をかけ続けると“アーマ”と呼ばれる未消化物が体の中に増え、それがさまざまな病気の引き金となります。春は特にアレルギー症状として出てくることになるのです。
刺激を与え、旬の春野菜を食べよう!
増え過ぎたカパを落ち着けるためには、食べ過ぎに注意して体も頭も積極的に使い、少し刺激を与えること。軽く息が上がったり、汗ばむ程度の運動をすると体が温まったりと、心身ともにスッキリしますね。これはカパのバランスをとるのにピッタリです。オイルトリートメントのイメージが強いアーユルヴェーダですが、カパが増え、冷えやむくみを感じやすいこの季節には乾布摩擦がオススメです。絹手袋をして、体の末端から中心に向けて毛の流れに逆らうように肌に刺激を与えます。摩擦によって体が暖まり、代謝が上がって老廃物の排出が促されます。
また、旬の野菜をいただくこともオススメです。春にはフキノトウ、タラの芽、筍など苦味や渋味をもった山菜類やグリーンの葉物野菜を食べましょう。苦味や渋味は体の余計な水分を絞り出し、毒素の排出を助けてカパのバランスをとることができます。春の七草に含まれる「すずな(カブ)」、「すずしろ(大根)」も消化優しい野菜です。苦味と渋味が含まれる葉っぱまで丸ごといただきましょう!
甘いものが溢れる季節だからこそ食べ過ぎ注意
気を付けないといけないことは、揚げ物や動物性タンパク質、油分、糖分、穀物、乳製品(ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム等)など消化に時間がかかるものを摂り過ぎないこと。2月にはバレンタインという大きなスイーツイベントがあり、甘いもの好きには我慢しがたい季節。チョコレートをはじめたくさんのスイーツが出回りますが、くれぐれも食べ過ぎないように!甘いものが欲しくなったら、生ハチミツを加熱せずにそのままスプーン1杯、またはコップ一杯のぬるま湯に溶かしていただきましょう。ハチミツは甘いけれどカパのバランスをとってくれますよ。