File no. 131
《BEN DAVIS /ベン・デイビス》
アメリカが生み出したワークウエアは偉大だ。
アメリカンドリームを夢見て、世界中から集まった名もなき労働者のために開発されたアメリカンワークウエアたち。
それはいつしかクローゼットに欠かせないワードローブの一着となり、その時代を象徴する最先端のファッションアイテムとしても存在し続けている。
もはやアメリカンワークウエアは、現代ファッションを支えるベース(柱)の1つといっても過言ではない。
今回は、そんなアメリカンワークウエアを長年にわたって手掛けてきた老舗《ベン・デイビス》の歴史に注目。
今や当たり前に誰もが着用しているデニムパンツ誕生の歴史にも名を刻む名門、その歴史にぜひとも触れてみてほしい。
まずは《ベン・デイビス》の歴史を語る上で欠かせない人物がいる。
それは創業者であるベン・デイビスの祖父、ヤコブ・デイビスだ。
ヤコブは1834年にラトビアで誕生し、1850年代にアメリカのサンフランシスコに渡った。
そして1870年代にはサンフランシスコで上質な衣類の仕立てを生業と定める。
ヤコブは人々の依頼を受け、多くのワークウエアを仕立てる中で、より強度の高い衣類の必要性に頭を悩ませた。
そして、ワークウエアに欠かせない革新的なスペック"リベット付きのポケット"を開発。
デニムパンツを筆頭に、今ではワークジャケットやワークパンツなどの幅広いアイテムに当たり前に採用されているリベット付きポケットは《ベン・デイビス》の祖、ヤコブ・デイビスが開発
したものなのだ。
この革新的な技術は、ヤコブと友人との共同出資により特許が申請された。
1873年には特許が承認され、以降のリベット付きデニムの発展に大きく貢献。
リベット付きポケット開発後もヤコブ・デイビスは一貫して労働者を支えるワークウエアをつくり続け、1908年にこの世を後にした。
ヤコブ没後も、デイビス家は変わらずワークウエアの開発と製造を続け、1935年にヤコブの孫であるベン・デイビスによってベン・デイビス マニュファクチャリングが設立された。
《ベン・デイビス》は、その後も優れたワークウエアの製造に没頭。
質実剛健なワークウエアは次第にファッションシーンからも注目を集めるようになり、アメリカ国内のみならず、世界中の人々にカジュアルウエアとして受け入れられるようになった。
写真の「USAハーフジップS/Sシャツ」は、90年代を象徴するスターラッパーたちにこぞって愛用された名作だ。
ぜひ、一度袖を通してみてほしい。