File no. 113
《HUNTER/ハンター》
雨や雪などの悪天候下において、絶対的な信頼を集めるレインブーツの王様。
そして、ぬかるんだアウトドアフィールドにおいても抜群の信頼を誇る、スタイリッシュかつ堅牢なラバーブーツの大定番。
今回は、世界中のスタイルマスターたちを虜にするラバーブーツの名門《ハンター》に注目。
その名門たる所以を紐解いていく。
《ハンター》は、アメリカ人実業家のヘンリー・リー・ノリスとスペンサー・トーマス・パーマリーが、英国に旅行に訪れたことがきっかけで、1856年に英国で創設された。
創業当初はノース・ブリティッシュ・ラバー・カンパニーという社名で活動を行なっており、主にタイヤや湯たんぽ、ゴルフボールやゴム製の敷物など、さまざまなラバー製品を製造するキャッスル・シルク・ミルズという工場をスコットランドに立ち上げたことからその歴史をスタートさせる。
同社の高品質なゴム製品は、英国国内外において高い評価を獲得し、着実にその事業を成長させていった。
そして、第一次世界大戦が開戦する1914年、《ハンター》のノリスとパーマリーは英国陸軍省から1つの依頼を受けることとなる。
それは、"氾濫した塹壕で使用するための頑丈で防水性の高いブーツの開発・製造"だった。極限の環境下において、足下から兵士の身を守る。このミリタリーブーツの製造は第二次世界大戦時まで続けられ、この時の開発・製造が原点となり、同社のラバーブーツブランドとしての躍進が始まった。
ちなみに提供したブーツは、なんと百万人以上の兵士の足下を支えたといわれている。
1956年には、ブランドを象徴するロングブーツ「オリジナル・グリーン・ウェリントン・ブーツ」が誕生。このブーツは、現在の「オリジナル・ブーツ」シリーズにも受け継がれており、開発当初と変わらずヴァルカナイズド製法のラバーを使用し、28のパーツで構成。
三日間掛けて1つ1つ手作業で製作されている。「オリジナル・グリーン・ウェリントン・ブーツ」の誕生以降、着実に信頼を集め、ラバーブーツの代名詞的なブランドとして世界的に知られる存在となった。
そして、その多くの功績と高い品質は英国王室にも認められ、1977年にはエジンバラ公により、1986年にはエリザベス女王陛下により、ロイヤルワラント(英国王室御用達)の称号が授与されている。
現在は、長い歴史の中で培われた高い機能性を備えた製品を維持しながら、地球環境に配慮した製品の開発・製造にも取り組んでいる。